山岳風景の版画、貴重な油彩 130点 前田政雄展後期【函館】
道立函館美術館の特別展「生誕120年 前田政雄展 木版画とともに歩んだ50年」の後期が4月14日まで開かれている。前期(昨年12月23日~2月18日)から70点を入れ替え、130点を展示。重厚な色合いで刷られた山岳風景の木版画など、函館出身で日本を代表する版画家、前田の奥深い作品の魅力を堪能できる。
芸術家を志し上京した前田政雄(1904~74年)は油彩を学んだ後、30代から版画に専念する。後期では数少ない昭和初期の油彩の一つ「諸果」や、銅版画「蔵王火口壁」、宮内庁から御用邸絵画制作の依頼を受けた版画「鉄線蓮」はコンテや下絵もあるなど、貴重な展示が並ぶ。北海道で交友のあった画家の似顔絵など、古里での活躍の一面も紹介している。
日本の近代版画が躍進した時代に作られた代表作の山岳風景は、富士山のほか白馬山麓など信州が多く、濃い色合いで織り成す山肌や空、周辺の川などは色彩効果を高める演出が多く、色へ探求を感じさせている。また「山と渓谷」の表紙挿し絵など幅広い制作活動を垣間見ることができる。
ミュージアムショップ(展示会場外)では駒ケ岳などポストカードを増やし利用を呼び掛けている。午前9時半~午後5時(入場とショップは同4時半まで)。観覧料は一般510円、高大生300円。65歳以上と中学生以下は無料。
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