ボランティアが標本制作 苫小牧市美術博物館で研修開始
苫小牧市美術博物館は今月、昆虫や植物など自然分野の標本所蔵数を増やすため、登録ボランティア向けの研修をスタートさせた。講師は標本制作に詳しい苫小牧総合経済高校の生物教師吉沼利晃さん(44)。初回の2日は、4人のボランティアが透明な樹脂で昆虫などを包み込む「樹脂封入標本」づくりにチャレンジした。
色や形を半永久的に保存でき、教育現場や博物館の展示などに活用されている樹脂封入標本。同館によると、現時点での所蔵は数十点にとどまっており、今後100点以上の確保を目指す。研修は当面継続し、見学者も随時受け入れながらボランティアの裾野も広げていきたい考えだ。
同日は事前に乾燥させておいたミヤマクワガタやハスカップの花などで樹脂封入標本作りに着手した。参加者は容器に樹脂を段階的に流し込み、ピンセットで昆虫や植物を入れるタイミングを吉沼さんに教わり、慎重に作業を進めた。樹脂が固まる前に気泡やごみを爪ようじで取り除くなど見え方にも気を配った。
樹脂封入標本について吉沼さんは「直接触っていろんな角度から観察ができる標本」と説明。ボランティア歴6年で、標本づくりは小学生の時以来という男性(66)は「自分の作った標本を子どもたちが手に取って、自然に興味を持ってくれたら、うれしい」と話していた。
この日は計12点の標本制作に取り組んだ。次回16日午後1~4時の研修で固まった樹脂をやすりで研磨し、仕上げる予定だ。完成した標本は12月から来年3月にかけて予定する企画展で展示予定。今後、館内の無料コーナーに常設し、来館者に気軽に触れてもらうことも検討している。
同館で自然史担当の江崎逸郎学芸員は「昆虫や植物を身近に感じてもらえる標本なので、いろんな種類のものを増やしていきたい」と意気込む。
ボランティア登録などの問い合わせは同館 電話0144(35)2550。
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