釧路ガス 高台に新工場建設 津波被災時の供給維持【釧路市】
釧路ガス(釧路市寿4、両角幹彦社長)は、巨大地震・津波発生時にガス供給を継続できるよう、バックアップ施設として高台の市桜ケ岡に新工場を建設する。来年11月に稼働させる予定で、市内の主要病院に優先的にガスを供給できる体制も整える。ガス管の耐震化率も昨年100%を達成し、災害に強いガス供給体制の構築を進めている。
同社では現在、仲浜工場(仲浜町2、施設能力日量最大37万4000立方㍍)において、天然ガス(LNG)に液化石油ガス(LPG)を加えて熱量を調整し、都市ガスを製造。釧路市と釧路町の一部約6万9000世帯にガスを供給している。
しかし、同工場は標高3~5㍍に位置しており、津波に備えコンクリート塀や遮水扉を設置しているものの、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震で大津波が発生すれば工場停止が避けられないことが、新たに公開されたハザードマップで判明。「3年前から対策を始め、真冬に仲浜工場が停止しても供給が継続できるよう、津波浸水の恐れがない高台に工場を増設することとした」と長島保典常務が説明する。
新たな工場の建設予定地は、桜ケ岡4の釧路コールマイン隣接地で、標高31㍍。現在の1日の供給量約25万立方㍍の約7割をカバーできる、日量最大16万8000立方㍍を製造できる施設。平常時は仲浜工場をメインに稼働させるが、非常時にすぐ稼働できるよう全体の1割程度は桜ケ岡で製造する。原料のLNGはタンクローリーで石狩から北海道横断自動車道を通り、市街地を回避して工場に供給することができる。
敷地面積は、仲浜工場の約2倍の1万5000平方㍍。工場以外の土地は、復旧作業のため全国から派遣される応援隊の受け入れ基地として活用する。
着工は3月の予定だが、すでに周辺の導管を大口径のものに更新するなど整備を行っている。市内の主要病院周辺は高圧パイプに更新し、優先的にガスを供給できるよう整える。
また、ガス導管は1993年の釧路沖地震発生以降、地盤の移動に強いポリエチレン管や鋼管への更新を進めてきたが、30年かけて総延長1021㌔の耐震化を完了した。管路に大きな被害が出た場合は、ブロックごとに遠隔操作で供給を止める装置も配備している。
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