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函館新聞

福島の老舗金谷呉服店、大正・昭和期の振り子時計修復【福島】

曽祖父の代から受け継いだ柱時計を修復し、〝100年の音色〟を喜ぶ金谷社長。金谷呉服店の屋号「井桁二(いげたに)」が入った時計下の木箱は火鉢入れで、函館発祥の織物問屋「角小 小杉」(現コスギ)が贈り主という

 【福島】1879(明治12)年創業の衣料品販売「金谷呉服店」(町福島)は古い柱時計を修復して約60年ぶりに店内に設置した。金谷奉宏社長(80)の曽祖父で創業者の金谷菊三郎さん(1854-1943年)の時代に生命保険会社から贈られたもの。打刻音と趣のある時報の鈴音が店内に鳴り響き、安らぎを広げている。

 精工舎(現セイコーグループ)製のゼンマイ式(8日巻き)振り子時計。高さ約125センチ、幅約50センチ、奥行き約20センチ、文字盤の直径は約30センチ。長短針とは別軸で秒針がある。ガラス板に精工舎のロゴが入り、振り子の奥に振り幅を確認するスケールが付く。時計関連情報サイト「TIMEKEEPER 古時計どっとコム」によれば、1921(大正10)年に登場した「大角形長振」と呼ばれるモデルで、卸値は当時一般的な家庭用時計より10倍ほど高かった。

 金谷社長が生まれた1カ月後に亡くなった菊三郎さんは元々は鍛冶業で、明治に入って雑貨や呉服商として成功。植林事業にも尽力して一時は製材所も運営し、村内外に造林の功績が知られた名士で、晩年まで地域に尽くした。時計にある「住友生命札幌支部」の銘から同社の商号変更があった26(同15)年以降のものと推定される。金谷社長は「保険代理店として成績が良かったため時計を贈られたのではないか。子どもの頃はゼンマイを巻くのが楽しくてね」と懐かしむ。

 戦後は出征していた父敏男さんが復員。町中心部で発生し、当時の店舗や土蔵を焼いた47年11月の福島町大火も時計は乗り越えた。65年に道路拡幅に伴う店舗を建て替えた際に外されたとみられ、長年、町内の倉庫で保管していた。

 昨年秋に、明るい話題がほしいと考えて修復を思い立ち、木古内町の「かとう時計店」に依頼。振り板の部品を交換してもらい、新たな時を刻み始めた。時計内部には明治期に函館・十字街に店舗があった「カネ久 加藤時計店」の商号が書かれた紙片があり、時代を超えて同名の時計店が関わる奇縁も生まれた。

 菊三郎さんのさらに先代は能登国珠洲郡(石川県)の生まれで、自身のルーツで起きた能登半島地震に心を痛めている。金谷社長は「温故知新という言葉があるが、『温故救今』という気持ちで時計の音に救われていると感じる。懐かしさと同時にいろいろな生き方のヒントになる。多くの人に見てもらいたい」と話している。

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