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函館新聞

半世紀の節目熱こもる稽古 市民歌舞伎「初春巴港賑」11日に 勧進帳と白浪五人男【函館】

本番に向け熱心に稽古する「勧進帳」の出演者(1月30日)

 市民歌舞伎「初春巴港賑(はつはるともえのにぎわい)」の創設50周年記念第41回公演(NPO法人初春巴港賑主催、函館新聞社など後援)が11日午後1時から函館市民会館大ホールで開かれる。今年の演目は口上に続き「白浪五人男 稲瀬川勢揃(そろ)いの場」、「勧進帳」。出演する各界の名士は函館の新春風物詩を成功させようと稽古に励んでいる。

 1970年に同会館が開館したことを機に、市民による催しをつくり、市民を喜ばせたいという機運が高まった中で73年に始まった。同館の改修工事や新型コロナの影響で、昨年は6年ぶりに開催された。第30回から実行委員長を務める大庚会理事長の今均さん(76)は「休演明けの昨年は以前のように演じたり、開演準備を整えるのに大変な苦労があった。今年は新しい人が多いが、全員でスクラムを組み稽古に励んでいる。これまでで最も良い状況」と話す。

 半世紀の節目を迎えることで、開演前は市消防音楽隊の演奏で来場者を迎える。口上は大泉潤函館市長、中村慎也日銀函館支店長、今委員長らが述べる。続く白浪五人男は「盗賊である5人の伊達(だて)男のせりふが有名で、芸術的な見栄も見どころ。華やかさとスピード感を楽しめる」と今委員長。

 勧進帳は、武蔵坊弁慶を函館子ども歌舞伎で活躍した経験を持つ黒瀧達也さん(36)が演じる。黒瀧さんを育て、今年から再び監修、演技指導する市川団四郎さん(83)は「声が良く、富樫左衛門(今委員長)との激しい山伏問答などが見どころ」と期待。所作について目線や腕の振り方を指導する際は「お客さんに喜んでもらうため」と声掛けし、黒瀧さんは「大役をいただき驚いた。一生懸命に稽古し、気持ちを楽にして演じたい」と意欲。

 稽古では出演者同士で細かな動きを確認。今委員長は「新しい人も熱心で、新しい挑戦に対してみんなが一生懸命なのは、市民手づくりの函館巴港賑ならではの文化で、続ける意義がある。稽古のぜひ成果をご覧いただきたい」と話す。また、勧進帳の舞台は現在の石川県小松市で「能登半島地震で被災した皆さまを元気づけるような熱演の舞台したい」と意気込みを見せる。

 幕間では函館邦楽舞踊協会の常盤津「鶴亀」の祝舞や、函館巴太鼓振興会の演奏のほか、Rダンスカンパニーが「縄文ハーモニー」を披露する。

 チケットは3000円(全席自由)、同会館、市芸術ホール、事務局(松風町18)、丸井今井函館店のほか、オンライン「イープラス」で販売中。問い合わせは事務局(0138・27・6618、山口さん、三谷さん)へ。

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