太鼓シニアコンクール、櫛引さん「日本一」 総理大臣賞と名人位獲得、東北以北で初めて【室蘭】
公益財団法人日本太鼓財団北海道道南支部支部長などを務め「地獄太鼓」代表の櫛引秀明さん(66)=室蘭市知利別町=が、60歳以上の太鼓奏者が腕前を競う「日本太鼓シニアコンクール」で優勝し、内閣総理大臣賞と名人位を獲得した。東北以北では初となる栄冠をつかんだ。
「北海太鼓」の創始者、故大場一刀さんに憧れ、橋本光司さん率いる「地獄太鼓」に19歳の時に入門。以来、働きながら太鼓演奏を続け、太鼓の技術と表現力を磨いてきた。現在はアパホテル室蘭(室蘭ホテルシステム)代表取締役として経営しながら太鼓を続けている。
コンクールは11月19日に石川県輪島市で開かれた。大場さんが作曲した「北海流れ打ち」と「北海勇み駒」を、伴奏を務めた長女の杏月さん(13)と長男の大和君(11)とともに息の合った演奏を披露した。
直径45センチの長胴太鼓と直径90センチの桶太鼓を約4分間打ち鳴らし、北海道の太鼓芸能「北海太鼓」の素晴らしさを表現。太鼓の音やテンポ、バチさばきなどで評価を受け、計35の団体・個人の頂点に立った。
演奏当日は「緊張でいっぱいだったが、2人の子どもたちと一緒に何とか自分の演奏をやり遂げられた」と話し、杏月さんと大和君は声をそろえて「緊張しなかった」ときっぱり。
演奏後に出演者やスタッフらに「素晴らしい演奏でした」と声をかけられた時には、「うれしくて涙が出そうになった」と言い、今回の受賞は「一人の力によるものではなく、一緒に伴奏をしてくれた子どもたち、これまで支えてくださった全ての方々のおかげ」と感謝する。
太鼓の演奏は「打つだけでなく、呼吸法や体の使い方など、さまざまな技術が必要」とし、「太鼓の精神や歴史を理解することも大切」と語る。
規定により個人での再出場はできず、2度目の優勝を目指すには60歳以上の仲間と団体で出場するしかない。「できれば近いうちに、地獄太鼓として団体で挑戦したい」と意欲を見せる。
「これからも賞を励みに、技術を磨き、演奏を通じて多くの人に、元気や勇気を与えられるよう、精進していきたい。一生現役」と力を込めた。
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