秋サケ定置網 記録的不漁 75トンで今季終了 苫漁協
苫小牧漁業協同組合(伊藤信孝組合長)の秋サケ定置網漁は今季、漁獲量は前年比約8割減の74・8トンだった。胆振海区漁業調整委員会に記録が残る1997年以降、最低だった2021年の150トンを大きく下回る記録的な不漁。同漁協は「来年以降の回復を期待したいが、どうなってしまうのか」と懸念している。
同漁協の速報値。漁獲量は前年比80・5%減、漁獲高は同79・8%減の約6325万円(税抜き)で、いずれも統計史上最低を更新。1キロ当たりの平均卸売価格は845円で27円高だった。
胆振海区(室蘭・地球岬―むかわ)の秋サケ定置網漁は、漁期が9月1日~12月3日。同漁協は苫小牧沿岸の西側海域に5カ統で、今季は9月4日~11月27日に操業した。
初日から漁獲量わずか170キロにとどまり、漁最盛期の10月も1日当たり数トンにとどまるなど、シーズンを通して漁獲量が思うように上向かなかった。漁場となる胆振中・東部沿岸は10月上旬まで、海水温が高めの20度以上で推移するなど、秋サケが回帰しづらい海洋環境だったようだ。
定置網にはサケ以外の魚がよく入り、特にサバの今季漁獲量は108トンでサケを上回る異例の結果に。同漁協は「秋サケ定置網はサケを取って価値がある。何年も不漁が続くと、漁業者の生活に大きく響く」と危機感を募らせる。
また、同漁協は胆振管内さけ・ます増殖事業協会(白老町)からふ化事業を受託し、例年8~11月に錦多峰川で柵などの「うらい」を仕掛け、遡上(そじょう)する親魚を取っているが、今秋は苦戦を強いられた。
密漁対策に力を入れながら親魚を捕獲してきたが、「遡上自体少ない」と例年よりも1週間ほど早い11月中旬に終了。今後に向けて「資源回復のためには必要。地道にやっていくしかない」と強調する。
道が公表する秋サケ定置網漁の漁獲速報は11月20日現在、前年同月比約35%減の約1920万匹で、苫小牧漁協を含む胆振海区は同約77%減の約7万匹。
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