アジア鋳物会議で講演する室工大の清水教授

　鋳物に関する材料や鋳造技術の開発成果などを発表する第１６回アジア鋳物会議が１日、室蘭市中島町のＦＫホールディングスきらんで始まった。清水教授らがカーボンニュートラルへの取り組みについて講演した。４日まで。

　日本鋳造工学会（会長・清水一道室蘭工業大学副学長、教授）主催。研究者や企業関係者らが日本や韓国、中国など５カ国から集まった。日本では、２００８年（名古屋）以来１５年ぶりの開催。

　初日の講演では清水教授のほか、世界鋳物協会（米国）のクール・ガッツ会長（ドイツ）らが登壇した。

　清水教授は日本の鋳造業のカーボンニュートラルへの取り組みをテーマに講演。電気代や材料費の高騰、働き手不足などの課題を訴え「２０５０年までの目標達成は厳しい状況」との考えを示した。

　対策として、再生可能エネルギーの活用や原子力発電の再開、船舶の再資源化など－を挙げた。人材育成は、技術革新につながる基礎研究の推進や若い世代への技術移転に触れ「オールジャパン体制での取り組みが重要」と強調した。

　室蘭栄高２年の上原巧大さんは、室工大との授業の中で鋳物に興味を持った。同会議に出席し「海外の技術を知ることができて良かった。今後の活動に生かしていきたい」と話した。

　２日からは、室工大（水元町）に会場を移して分野ごとの講演会を実施する。各国の研究者らが鉄やアルミニウムの解析シミュレーションを基にした、鋳物の軽量化や強度などの研究成果を報告する。室栄高や室工大の生徒・学生は、鋳鋼やアルミニウムの材料特性の評価について発表する。