コクガン繁殖地は東シベリア 野付湾、重要な渡りルート
【標津、別海】国内に飛来する天然記念物の渡り鳥コクガンが、ロシア・東シベリアの北極海沿岸レナ川河口で営巣し繁殖していることが、コクガンの渡りを調査している山階鳥類研究所(千葉)の澤祐介研究員の調査で明らかになった。両町でNPO法人「野付・エコ・ネットワーク」(藤井薫代表)が開いた教育講演会で、澤氏が最新の調査結果を発表した。
澤氏は2017年から、日米露中4カ国の研究者と共同で、野付湾(別海)でコクガンを捕獲し衛星機器を付けて渡りのルートを解明する調査を行っている。発信データをたどると、夏の繁殖期に北極圏に渡ったコクガンはレナ川湿地帯に約1カ月とどまっており、露の研究者と共同で行った航空機による調査では、航空写真でコクガンの群れを確認できたという。
このほか、国内に飛来する約8600羽は必ず野付湾を通って繁殖地や越冬地に向かっているため、野付が東アジアの重要な中継地であることや、国内で越冬する約2500羽以外の6000羽のうち一部は中国山東省で確認されたことも明らかにした。
11、12日に開かれた講演会の標津会場では、参加者から高病原性鳥インフルエンザの影響について質問があり、澤氏は「コクガンのねぐらが止水域でなく海中なのでリスクが低い」などと回答し、これまでに確認されていないことを説明した。
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