「老化予防 意欲がカギ」 和田秀樹氏招き釧新文化講演会【釧路市】
公益財団法人釧新教育芸術振興基金(星匠理事長)と釧路新聞社が主催する釧新文化講演会が5日、釧路市生涯学習センター大ホールであった。精神科医の和田秀樹氏を招き「『不老脳』とは~若さを保つとっておきの処方箋~」と銘打って講演。和田氏は会場に詰め掛けた約600人の聴衆に向けて、高齢化社会のなかで老いと戦うために、心の若さの重要さを語った。
和田氏は、現代の高齢化社会のなかで「少子化対策と同時に高齢者に元気で現役世代として長く活躍してもらうことが大事」と、中高年が老いと戦うための講演を行った。
「50代からどう生きるか」から始まった講演では、50代から意欲の低下から心身の衰えが始まり、70代で体が動かなくなる事態に陥るとして、「意欲の老化を予防することが一番大事」と指摘。継続した運動や勉強の重要性だけでなく、意見を発信することや、自身と異なる考えの本を読むなど、挑戦や実験を続ける大事さを訴えた。
また、日本人の死因のトップが、がんであることから「がんの原因は免疫機能を下げるストレス。心の健康が体の健康に直結する。日本人は心のケアを軽視しすぎ」と、メンタルヘルスの重要性を解説した。精神科医の見地から、固定された価値観にとらわれることなく、と柔軟に生きる選択肢をすすめつつ、「頭を柔らかくして、元気に長生きに努めてください」と締めくくった。
質疑応答では、介護関係者から、医療関係者との意見の乖離(かいり)などの実情から、介護現場の在り方などについて質問があり、和田氏は「大事なのは、入所者の自己決定権があるかどうか。医師よりも長期間現場を見ている皆さんの意見が反映されるべき」と回答し、会場から自然と拍手が湧いた。
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