江戸時代の古道を踏査 えりも 国指定史跡の猿留山道を歩く会【えりも】
【えりも】町教委主催の令和5年「猿留山道を歩く会」が14日、日高振興局森林室、環境省帯広事務所、消防えりも支署署員などを含む25人が参加して9㌔の古道を歩き、江戸時代後期の先人たちの通行の難儀に思いをはせながら、雄大な眺望を満喫した。
猿留山道は、220年以上前の1799年(寛政11年)、千島列島に接近するロシアから北方領土を守るため、日高沿岸から根室方面に通じる道内唯一の官製陸路として、江戸幕府が様似山道と共に開削した道。その後、全国を測量した伊能忠敬や、「北海道」の名付け親とされている松浦武四郎も踏査した山道で、絵図が市立函館図書館に保存されている。
1934年(昭和9年)に、広尾町までの国道(黄金道路)が開通したことで、その存在が忘却の彼方に去っていたが、町郷土資料館と支援団体の北緯42度の会がボランティアで2002年(平成14年)から3カ年計画で9㌔を復元。その後も「歴史の道100選」、「町文化財」、「国指定史跡」として保存活動を継続している。
この日のコースは、町教委の中岡利泰社会教育課長をリーダーに、バスで庶野国道から目黒への広域林道に移動。中間点の342㍍地点から紅葉が始まった猿留山道に入り、沼見峠で休憩した。さらに、近くの高台から豊似湖のハート型の全景や、百人浜の渚と襟裳岬を眺望したあと、下山コースでは、左に豊似湖畔を見下ろす尾根沿いを経由して、広域林道の猿留川大橋まで9㌔のコースを全員が無事歩き抜いた。
山道踏査終了後、現在町で、文化財を後世に引き継ぐための「町文化財保存活用地域計画」を作成していることから、参加者19人に山道を歩いた感想など5段階のアンケートを依頼。このなかで「山道開削の説明が解りやすく古道の雰囲気に浸れた」、「学校の遠足で山道を歩くべき」など、今後の活用に必要な意見が多く寄せられた。
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