迫真、幸恵の生涯 舞台女優・舞香さん一人芝居【登別】
葛藤、苦悩 観衆見入る
「アイヌ神謡集」の著者として知られる知里幸恵の生涯を描いた一人芝居「神々の謡(うた)~知里幸恵の自ら歌った謡~」(登別市教育委員会主催)が9月29日、登別港町の観光交流センター・ヌプルで上演された。舞台女優の舞香さんによる迫真の演技に、約70人の観衆が見入っていた。
登別市出身の幸恵没後120年、神謡集刊行100年の今年、アイヌ文化への関心をさらに高めてもらおうと昨年に引き続き開催。公演に先立ち27日に幌別西小学校、28日には幌別小学校でも上演された。
19歳で他界した幸恵の生涯を、シンガー・ソングライターのいわさききょうこさんの澄んだ歌声と電子ピアノの伴奏で、劇団ムカシ玩具の舞香さんが異なるキャラクターを巧みに演じ分けた。
1922年、病弱だった幸恵は、言語学者の金田一京助宅でアイヌ神謡集の出版準備に取りかかる。アイヌ民族として、また熱心なキリスト教徒として悲しみや怒り、葛藤、苦悩を抱える中、同族祖先の言葉やカムイたちの言葉を未来に残すと決意する場面では、観衆が幸恵の行く末を見守った。
登別明日中等教育学校の堅田菜央さん(17)は「書籍などでアイヌについて学んでいたが、演劇を見るのは初めて。文字に起こせていない後世への思いもあったのではと思う」と話していた。
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