先祖眠る島に思いはせ 洋上慰霊、今年度の日程終了【根室】
【根室】元島民や後継者が日ロ中間ラインの付近の洋上から先祖を供養する「洋上慰霊」の第3回国後コースが9月30日、チャーター船「えとぴりか」(1124㌧)に元島民や後継者56人、同行者を含め計72人が乗船して行われた。今年度の洋上慰霊はこの日で終了、歯舞と国後の2コース計6回に元島民ら268人、総勢384人が参加した。天候にも恵まれ、新たに設けた予備日を使ったのは1回だけだった。
この日の船には択捉島で村議会議長を務めた山本勝四郎さんの二男忠平さん(88)=択捉島蘂取村出身=が兵庫県神戸市から初めて参加した。勝四郎さんは1931(昭和6)年8月に来島したアメリカの冒険家リンドバーグ大佐を歓迎し、大佐と記念写真にも収まっている。45年7月の根室空襲で買い出しに来ていた根室港に停泊中の浦河丸が米軍機に爆撃され死亡している。
この日は国後島がはっきりと見え、標津港沖で祭壇の奥に島影を見ながら慰霊式を行った。忠平さんは「根室湾には父親が、島には祖父母が眠っており、(島が)見えなくても手を合わせて弔った」と話していた。
8月下旬から始まった今年度の洋上慰霊は、昨年度の回数を10回から6回にする一方、1回当たりの参加者を増員。さらに、参加者から要望の多かった予備日を設定し、予定日翌日に代替日を設けた。予備日を使ったのは歯舞コースの2回目のみだった。
今回の参加者は歯舞群島水晶島沖で慰霊する「歯舞コース」3回に元島民ら108人、総勢172人、国後島ハッチャス沖の「国後コース」3回に元島民ら160人、総勢212人が参加した。
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