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網走タイムズ

4年ぶりに聴衆迎えて奉納 集まった300人を魅了 114年目の豊郷神楽

4年ぶりに観衆を迎えて奉納された豊郷神楽

 【網走】明治時代から1世紀以上にわたり市内豊郷地区で伝承されてきた「豊郷神楽」の神社奉納が、今年も豊郷神社で行われた。ここ数年は新型コロナの影響で無観客の奉納が続いていたが、今年は制限を設けずに開催。約300人の観衆が神社を訪れ、地域を代表する伝統芸能に見入った。

 奉納したのは、同神楽保存会(井上利則会長)の会員25人と、地域の小学生4人、中学生1人の合わせて30人。

 奉納に先立ち、井上会長は「新型コロナ以降、無観客での奉納が続いていたが、やっとみなさんにも見てもらうことができる」と、今年で114回目となった奉納が観衆の前で無事にできることに感謝した。

 今年は、全12幕のうち「逆鉾舞」「恵比寿舞」「種蒔舞」などの9幕を奉納した。このうち「幣舞」「四方舞」は小中学生も舞台に上がった。

 太鼓と篠笛の音色が境内に響き、赤と白の衣装に身を包んだ舞い手が現れると、おごそかな中にもまつりらしい高揚感が境内を包んだ。観衆の中には出演する小中学生の友人や保護者も多くみられ、舞台でりりしく神楽奉納を務める友人をうらやましそうに見たり、保護者がビデオカメラやスマホで映像に収めるなどしていた。

 集まった観衆は、日中の蒸し暑さがゆるむ夕暮れの中、飲み物でのどをうるおしたり、会場で提供される鳥串に舌鼓を打ちながら、神楽を堪能。童謡「村まつり」の歌詞「ドンドンヒャララ ドンヒャララ 夜までにぎわう宮の森」よろしく繰り広げられる昔ながらの光景を楽しんでいた。

 幕の途中には、神楽の奉納に寄付をしてくれた人たちを紹介する「御花御礼」も、例年通りに披露。「まーだまだくださる、みはなのおんれいー」と語る独特の口上で観衆を沸かせた。

 この神楽は、宮城県から同地区に入植した明治30年代後半、開拓の苦労を紛らわすために手製の面を彫って面白おかしく踊ったのが始まり。

 その後、部落の戸数が増えた明治42年に同神社が建立され、奉納したこの踊りを「豊郷神社奉納神楽」と正式に命名した。

 戦中戦後も含め、過去一度も休むことなく毎年8月1日に奉納してきた。後継者不足から伝承が途絶え、全12幕のうちの一部を舞えなかった時期もあったが、現在は同神楽保存会が老若男女を問わず、広く地域の伝統芸能として、保存と伝承に努めている。

 これらの活動が認められ、これまでにオホーツク教育局の管内教育実践表彰、日本善行会秋季善行賞、山田記念青少年育成財団「山田賞」などを受賞している。

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