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函館新聞

H2Aロケットに鉄腕アトムをデザイン 大沼ゆかりアーティストのカイトさん【七飯】

ロケットの壁面に描かれる鉄腕アトムのアートを紹介するカイトさん

 【七飯】三菱重工(東京)と宇宙航空研究開発機構(JAⅩA)は14日、「小型月着陸実証機」を搭載して8月26日に月に向けて打ち上げるH2Aロケットの壁面に描く、鉄腕アトムのアートを公開した。グラフィックデザインを担当したのは七飯町大沼にゆかりのあるパリ在住のアーティスト、ビクトール・カイト(宮﨑海斗)さん(24)。「子どもたちに夢と希望を与え、地球環境のことを考えるきっかけになればという思いをデザインに込めた」と話している。

 カイトさんの父親はフランス人で、母親の宮﨑香織さんは大沼出身。祖父母が大沼で旅館「湖月」を経営していたことから、小学校時代の6年間、毎年パリからやってきて夏休みの時期を大沼で過ごし、大沼小にも短期留学していた。

 大学在学中、スニーカーをキャンバスとして描く「ストリートアート」で一躍脚光を浴び、多くのファンを持っている。大学を卒業した昨年、パリを拠点にアーティストとしての活動を本格化させた。今年は手塚プロダクションとコラボレーションし、鉄腕アトムを新しくデザインしたプロジェクトを始動させるなど精力的に活動している。

 今年は鉄腕アトムのアニメ化60周年の節目。宇宙産業の総合的なサービスを手掛ける「Space BD」(東京)が、手塚プロダクション監修の下、カイトさんの案でプロジェクトを立ち上げ、採用された。

 絵柄は、月のまわりの宇宙空間をアトムが力強く飛ぶ様子をデザインした。ウサギのシルエットと「アヴニール(仏語で未来)」「ピース」「サイエンス」といった文字で月のクレーターを表現。アトムの足から出るジェット噴射のまわりには手塚治虫さんの漫画に登場する動物をたくさん配置した。昨年12月に10日間ほどかけてデザインを完成させたという。

 カイトさんは「ロケットのアートをデザインできるのは信じられない気持ち。見た人に未来や平和、地球環境などいろいろなことを考えてもらいたい」と思いを語る。

 「フランスと日本の懸け橋になりたい」と考えているカイトさんは「大沼で過ごした時間は忘れられないいい思い出ばかり。七飯町、大沼のためにも何かできれば」と話している。

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