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災害の記憶と教訓、次代へ 防災士会道南ブロックが証言募る 南西沖地震12日で30年【函館】

旧大成町が出した震災記念誌を手に、越野さん(右)の証言に耳を傾ける伊藤会長(提供)

 奥尻島を中心に津波などで大きな被害を出した北海道南西沖地震から12日で30年を迎える。北海道防災士会道南ブロックは、災害の記憶を次世代に継承しようと、「災害伝承記録」の取り組みをスタートさせた。その第一弾として、南西沖地震の体験談を募っている。

 同ブロックは民間資格の「防災士」の有資格者でつくる北海道防災士会の地域組織として3月に設立。会員の研修会のほか、市民を対象とした啓発活動に取り組み、防災イベントに参画するなどして住民の防災意識の向上を目指している。

 6月24日には伊藤友彦会長らがせたな町を訪れ、体験者2人に聞き取りと動画収録をした。今回、証言を寄せたのは、せたな町大成区の越野邦夫さん(81)と、同町瀬棚区の鵜入泰宏さん(68)。旧大成町は津波の直撃を受け死者10人、旧瀬棚町も死者6人を出したほか、多数の住宅が全半壊などの被害を受けている。

 越野さんは被災当時、大成町教委の職員。大成町のまとめた記録誌「大海嘯」を手に海沿いの集落が津波にのまれた様子を振り返り、「津波の恐ろしさは常々子どもたちに伝えている」と話した。民宿オーナーの鵜入さんは、地震後、客を高台に避難させた体験を振り返り、「対岸の奥尻島の空が真っ赤になっていたのが忘れられない」と語った。

 伊藤会長は「人の記憶は意識して残さないと失われてしまう」と災害伝承の重要性を強調し、「被災地の支援に入った人、函館など道内各地で震災を体験した人も含めて、さまざまな形で災害を経験された方々の記憶を寄せてもらい、将来に生かしたい」と呼び掛ける。

 証言は投稿フォーム(二次元コード)から募集するほか、体験者の話を動画収録するなどし、記録として残す。投稿された証言は編集後、北海道防災士会サイトなどで公開するなどして活用する。

 ■北海道南西沖地震

 1993(平成5)年7月12日午後10時17分に奥尻島北方沖の日本海の深さ34キロで発生。地震の規模を示すマグニチュードは7・8、江差などで震度5、函館などで震度4を観測した。奥尻島には当時、震度計がなかったが、震度6の揺れがあったと推定されている。直後に最大30メートルの津波が襲った奥尻町で199人の死者・行方不明者を出したのをはじめ、瀬棚町、大成町、北桧山町(現在はいずれもせたな町)、後志管内島牧村の各町村が大きな津波被害を受け、死者・行方不明者の合計は230人。

「災害伝承記録」二次元コード

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