網走産のホタテを使った給食に舌鼓を打つ児童

　【網走】地産地消を促すとともに、子どもたちに網走の基幹産業である漁業を知ってもらおうと、市内小中学校の給食で網走産のホタテを使った「ふるさと給食」が行われた。一部の小学校では、水産加工業者による講話も行われ、児童がホタテの知識を深めた。

　西小では、北見食品工業の田中京佑部長が、 ４年生21人にホタテの生態や殻のむき方などを説明した。

　この中で田中部長は、ホタテの黒い部分、いわゆる「ウロ」について知っているか児童に質問。「見たことある」と答える児童が多かったが、田中部長は「ここは中腸線といって、胃袋もここにあるので、極力食べないで」とアドバイスした。

　その理由を知りたがる児童に、田中部長は「胃袋で消化されたものは、何になる？」と児童に問うと、勘のいい児童が察して「あっ！」と声を上げる場面も。ほかの児童も、納得したようにうなずいていた。

　ホタテについて知識を深めたところで、いよいよ殻むき。児童全員に殻付きのホタテと、殻むきの道具「へら」が１つずつ配られた。

　ここで、ホタテの解説画像を映していた大型モニターの画面が切り替わり「ホタテは小柱をねらえ！」と表示。田中部長は「ホタテの貝柱には、小さくて白い『小柱』という部分があるので、そこをめがけてへらを刺すと、簡単にむけます」と、プロのテクニックを明かした。

　このほかにも「ホタテは平らなほうの殻を下にして持つように」「小柱は、貝殻のちょうつがいの下、中央より少し左側にあります」などとアドバイスがあり、児童は教わった通り殻むきに挑戦した。

田中部長からホタテの殻むきを教わった

　最初は貝殻にへらが刺さらず苦労していたが、殻に入ってしまえば田中部長の言う通り、小柱の当たりをへらで絶つと簡単に殻が開き、児童も「開いた！」と大喜び。

　後は貝柱のはずれた殻を取り除き、貝柱以外の部位をはずすと、市販されている「むきホタテ」の出来上がり。児童は「初めてやったけど、うまくできた」などと話していた。

　田中部長によると、道内の業者の中には機械を使ってホタテの殻むきをするところもあるが、市内の業者はすべて手作業で行っているという。

　お店で売っているホタテの貝柱が、すべて自分たちのやったように手作業でむいていると聞いた児童は「え、全部？」と驚いていた。

　ホタテに詳しくなった後は、お待ちかねの給食。この日の献立は、ホタテのオイスターソース炒めをメーンにご飯や汁物、ミニトマト、牛乳など。

　配膳を終え「いただきます」とあいさつした児童は、さっそくホタテをパクリ。みな「おいしい」と舌鼓を打ち、中にはおかわりをする児童も。ホタテのオイスターソース炒めは、あっと言う間になくなる人気ぶりだった。 　市内小中学校の給食に網走産の水産物を提供する取り組みは、市が２０２１年から始めたもの。

　今年は、市内の小中学生と教諭の給食で使うため、網走産のホタテ１３４㌔を市が提供した。