ごみ収集、大幅時短 市と民間共同、ICTで効率化【室蘭】
室蘭市は6日、車載機器最大手のパナソニックITS(横浜市)、道南公益清掃事業協同組合と共同で実施していた廃棄物収集効率化事業の成果を発表した。ごみステーション増加に伴う収集作業の負担増、曜日で収集量に偏り(月木65%、火金35%)があるといった、ごみ収集業務の課題にICT(情報通信技術)を活用してアプローチ。収集車の稼働時間や日報作成時間が大幅に減少するなど、着実に効果を上げている。
パナITSが開発した廃棄物収集効率化システム「収集しマース」は、ごみ収集車のダッシュボードにタブレット端末を設置し、アプリを起動。画面上の地図に市内のごみステーション約7千カ所の位置を表示し、収集状況を“見える化”できる。リアルタイムで結果を反映し、組合事務局で一元管理できるため、収集漏れの低減や作業員同士の助け合いにより、全体の収集時間を短縮できる。
3者は2021年度からタブレットを設置しての実証事業を開始。22年4月から市内のごみ収集車全16台に設置して試験運用を実施し、今年4月から正式運用を行っている。組合へのヒアリングやアンケートも実施し、日報のデジタル化などの機能を追加している。
収集地区の再編(月木47%、火金53%)やシステムを導入した結果、22年度の家庭ごみ用収集車の稼働時間は前年度比5%減、移動距離が同6%減。資源ごみ用は稼働時間が同6%減、移動距離は同10%減と効率化が図られた。日報のデジタル化によって作成・集計時間を757時間削減することにも成功している。
市生活環境部環境課の田所和久主幹は「ステーションの位置や参考ルートを活用しながら不安なく収集することができるため、収集地区を再編し、新しい地区に割り当てることも可能になった」とし、「収集車の走行距離が短くなることで燃料費の節約や二酸化炭素の排出削減にもつながった」と成果を強調した。
パナITSは今後、室蘭以外にもシステムの提供エリアを拡大していく方針で、事業系ごみや除雪情報との連携による冬季の効率化にも対応させる。同社室蘭開発室の佐藤慎吾室長は「室蘭で実績ができたことが大きい」と今後の展望に声を弾ませた。
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