世界の先住民族の現状学ぶ 阿寒湖温泉でワークショップ【釧路市】
世界の先住民族と観光について学ぶワークショップが10日、阿寒湖温泉内の生活館「ウヌカラチセ」(釧路市阿寒町緑町)で行われた。釧路明輝高校3年の廣野大地さんがニュージーランド研修の体験記を話したほか、先住民族や観光の関係などについて学ぶ研究者5人がアフリカなど世界の先住民族に関わる現状を語った。先住民族フィールドワーク研究会の主催。(鉾之原頌吾)廣野さんはアイヌ民俗文化財団主催のニュージーランド研修に参加。2月20~26日の4泊6日でマオリ族関連施設などを巡った。ワークショップには約40人が参加し、世界の先住民族が抱える問題や異文化交流の難しさなどについて理解を深めた。
祖母がアイヌ民族で、自身にもアイヌの血が流れる廣野さんは、マオリ族が通う学校などを訪問し「子供たちが新しく学んだマオリ語を、大人に教える場面などを見て衝撃を受けた」と報告。「伝統の継承の仕方はさまざまだと感じた。形式張らずに、自分の好きな形でアイヌの文化を継承できるのではないかと感じた」と振り返り、今後の活動への意思を示した。
研究者らによる発表はオンラインやスライドで実施。東洋大学の中村香子教授は、ケニアのマサイ系民族が観光や商業利用されている現状を挙げ「民族の人々にとって、自身の文化を客観視する機会になっているが、伝統衣装などへの知的財産の保護も必要になってくる」と話した。
国立公園と観光について話した、芸術文化観光専門職大学の西崎伸子教授は、世界の国立公園では保護を最優先にし、狩猟採集をなりわいとしてきた先住民族に意思決定が与えられていないと指摘。「阿寒摩周国立公園も利活用の一つにアイヌの文化が含まれている。アイヌの方々への配慮ある運営がなされるか、注視していきたい」と語った。
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