【根室】市立厚床中学校（三宮貴史校長、生徒９人）の生徒が鉄道利用者にスズランをプレゼントする「すずらん贈り」が８日、ＪＲ花咲線の厚床駅で行われた。生徒たちから手渡された初夏のプレゼントに、車内には甘い香りと笑顔が広がった。

　1963年に生徒の発案で始まった伝統行事で、今年が６１回目。この日は生徒８人が校内の敷地に自生するスズラン５０束と、事前にしたためたメッセージカード、すずらん贈りの歴史をまとめた厚床新聞を用意。

　根室駅発、厚床駅に午前１１時５０分に到着する「快速はなさき」の乗客は１４人。ＪＲ側も通常より約１分停車時間を長くして協力した。

　台湾からの女性客にスズランを渡した同校３年の酒井穂（みのり）さん（１４）は「すずらん贈りの歴史や花言葉などを説明した」と話し、生徒会長の横峯葉子さん（１４）は「花咲線に乗りたくて岡山から来たという人に渡せた。すごく喜んでくれた」と笑顔を見せていた。

　ＪＲ根室駅の薄井冠一駅長も生徒たちの活動に「花咲線を盛り上げてくれてうれしい」と話していた。

花咲線の乗客を伝統の「すずらん贈り」でもてなす厚床中の生徒