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函館新聞

「松川団地」解体へ 戦後復興期のRC造建築【函館】

解体される松川団地1号棟

完成当時の松川団地(左側が2号棟、奥が1号棟。「昭和26年度 函館市勢要覧」より=市立函館博物館収蔵)

 戦後復興期の1950~52年に完成した旧函館市営住宅松川団地(松川町、3棟)の解体が6月中旬から始まる。急激な人口増で悪化していた当時の住宅事情を背景に計画された鉄筋コンクリート(RC)造4階建ての共同住宅で、函館の団地建築の先駆けだった。70年の耐用年数を全うし、役目を終える。

 市都市建設部によると、1棟の延べ床面積は約1060平方メートル、間取りは1DK、風呂なしの約40平方メートル(約12坪)が24戸あった。居住者は昨年11月末までに旧大川中跡地の大川団地などに転居済み。今月13日に解体事業者を決める入札が行われ、市との契約後に着手し、11月下旬にはさら地となる見通し。用途廃止に伴い、市総務部は津波避難ビルの指定を解除した。

 松川団地建設の背景には戦後の人口急増と深刻な住宅不足があった。函館市史などによれば、市内では太平洋戦争末期の45年7月の函館空襲で約400戸の住宅が焼失し、同年春から敗戦直前まで建物疎開(空襲による延焼防止のための強制的な建物の取り壊し)が続き、約4000戸の住宅不足があった。終戦後は復員者や樺太などからの引き揚げ者の定住もあり、人口は45年の18・1万人から50年には22・9万人まで急増した。

 市営住宅は47年度から毎年建設が進められたが平屋が中心で、松川団地は初のアパートタイプ。状況改善につながったとは言えず、当時の地元紙「函館新聞」(50年5月20日付夕刊)は完成した松川団地の写真付きで「市営アパートは建ったけれど 何時(いつ)の日か住宅難解消」との見出しの記事を掲載。売り家が高値で推移し、8000戸の住宅不足があると指摘し「衣食好転の折から『住』のみは依然として暗い表情だ」と報じた。

 市史には51年に入居した市民が「(最初の入居者は)学校の先生、消防・警察、市役所の人たちなどで、当時の高給取りでなければ入れなかった」と証言。備え付けの2段ベッドがあったことも書かれている。

 建築企画山内事務所(本通2)の山内一男代表は「終戦後のどさくさの中、日本中で420万戸の家が不足し、函館でも住宅難は昭和30年代まで続いた。函館は34年の大火後に道内最初のRC造共同住宅として函館共愛会蓬莱ビルが建てられている。この経験値があり、(松川団地には)違和感がなかったと思われる」と話す。

 大川団地など各地で公営住宅の設計を手掛けた経験から「公営住宅建設の基本は居住を必要とする人たちの社会背景を支え、集まって住むことの良さと可能性を敷地に落とし込むこと。時代背景が生活、住まい方を変えている。人口減や町が縮小していく時代に、美しく縮小していくまちづくりができることが今後の課題だと思う」としている。

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