日鉄セメントの低炭素製品、国交省モデル工事に採用 CO2排出量、5割超削減【室蘭】
日鉄セメント(本社室蘭市仲町、橋本康裕代表取締役社長)製造の高炉スラグ微粉末製品「スピリッツ」が、国土交通省発注の低炭素型コンクリートブロックのモデル工事に採用された。国内で最も普及している普通ポルトランドセメントと比べ、二酸化炭素(CO2)排出量を5割以上削減できるコンクリートが製造できることから、同社では「2050年カーボンニュートラルの実現に向かって活用していただければ」と今後の展望に期待している。
同社は1954年の設立以来、高炉で鉄鉱石を溶かす過程で発生する副産物の高炉スラグを有効活用したセメント商品を開発・販売している。これまで普通セメントと比べ、製造時のCO2排出量を4割以上削減した「高炉セメントB種」を販売し、道認定リサイクル製品となっている。
スピリッツは、日本製鉄北日本製鉄所室蘭地区の溶鉱炉で副生された高炉スラグを、水で急冷してから粉砕し、粒度を調整したリサイクル製品。セメント同様に硬化する性質があり、石灰石などを石炭で焼いて造るクリンカー(セメントになる前の中間製品)と置き換えることができる。
クリンカーを造るときには炭酸ガスも発生することから、普通セメント1トン当たり約760キロのCO2が発生する。これをCO2排出量がほとんどないスピリッツに置き換えることで、大幅な削減が可能になる。
国交省は高炉スラグ微粉末製品の比率を55%以上に高めた低炭素型コンクリートブロックのモデル工事を推進しており、道開発局発注の石狩川改修・維持工事(コンクリートブロック製造・共和コンクリート工業厚真工場)でスピリッツが使用され、今年3月に完工している。
日鉄セメントの髙林佳孝営業本部製品営業部次長は、「普通セメントと見た目だけでは全く区別がつかない。遜色ないコンクリートを造ってくれた」と感想を話し、「置き換えるだけなので、技術的に難しいことはない。私たちも使ってみたいという問い合わせはたくさん頂いている」と普及に力を入れている。
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