釧路の佐藤さん翻訳家デビュー コーチャンフォー全店で販売【釧路】
釧路市在住の佐藤志敦さんが、児童書『地図と星座の少女』の翻訳を手掛け、翻訳家デビューを果たした。佐藤さんは「思いがけないことです」と喜びの表情。書籍、文具などの複合店コーチャンフォーは29日から全店で販売を開始。釧路店では特設コーナーを設けてPRしている。
同作品は、英国の作家キラン・ミルウッド・ハーグレイブ著の小学校5~6年生向けの児童小説。ある島でいなくなった祐仁を探すべく、地図職人の娘イザベラの冒険を描くファンタジー小説だ。今回は特装版を翻訳し、書き下ろしの特別短編も収録されている。表紙や挿絵はウクライナの画家オリア・ムーザさんが、戦火を逃れながら描いたという。
佐藤さんは以前、釧路市職員として勤務し、市立博物館の館長などを務めていた。翻訳は10年以上行っており、英字新聞などを翻訳してコンクールに応募して楽しんでいたが「もっと翻訳に没頭したい」という思いから、2020年に早期退職。通信教育などで翻訳の技術を学びながら、児童書を中心に10冊以上を翻訳していた。
22年1月ごろ、通信教育の先生から出版社の編集者を紹介され、ハーグレイブ氏の作品が好きであることや、一部の翻訳を見せたところ、日本語訳での出版が決まった。
「もともと趣味の範囲でやっていたので、出版の話には驚いた」と佐藤さん。編集者と一緒になって言葉の解釈や、登場人物の心情について話し合いながら文章を磨いていき、無事出版にこぎ着けた。
出版を迎えた佐藤さんは「放心状態です」と安(あん)堵(ど)の表情を浮かべながら、「出版とは無関係に、次の本の翻訳を始められるのが楽しみ」と笑顔。翻訳について「外国の作家さんの表現の意図を、辞書を片手に自力で探求し周囲の人に伝えることが楽しい。いわゆる作家さんの``推し活、、です」。佐藤さんの翻訳への情熱はさらに高まっていくようだ。
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