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網走タイムズ

能取湖のホタテ稚貝が壊滅 かごの中でへい死 1億8千万粒、約7億円の被害

能取湖で追加調査を行う水谷市長(左)と石館組合長(中央)

 能取湖で育成していたホタテ稚貝の大半がへい死していることが分かった。全体の9割に及ぶ約1億8千万粒が死んでいるとみられる。西網走漁協と網走市、道などの関係機関は原因究明と今後の処理、漁業経営の安定対策などに取り組んでいく。

 稚貝のへい死が見つかったのは、同湖の氷が解け、春の出漁準備を始めた3月23日だった。

 湖内で生育している中間育成かご(座布団かご)の中にいる稚貝を確認したところ、本来であれば4―6センチほどに成長しているはずの稚貝がへい死していた。

 西網走漁協は即座に、湖内数カ所の育成かごを調査したところ、湖内全域で稚貝の大量死が確認されため、同漁協は関係機関と連携して事態の全容把握を進めている。

 へい死を受け網走市、北海道、同漁協、網走水産試験場、東京農業大学は3日、能取湖ホタテ稚貝へい死対策本部を立ち上げた。

 対策本部では①へい死の原因究明調査②モニタリング調査③再発防止策およびモニタリング体制構築④リスクマネジメント体制構築―の4項目に加えて、ホタテ生産漁業者の経営安定対策などを含めた包括的な対策を検討する。

 5日現在で稚貝は海に近い湖口周辺の育成かごの生存率は高く、陸側の生存率は低いことはわかっているが、全体の約9割におよぶ1億8千万粒はへい死していると予測されている。

 対策本部は専門的な学術研究者らによるへい死対策検討委員会を早い段階で設立し、具体的な対策、調査・研究を進めていく方針。

 同漁協は4日、石館正也組合長ら役員らが、稚貝の出荷先である紋別漁協、沙留漁協、枝幸漁協に出向き「本年度はへい死により、稚貝を出荷できない」などと状況を説明した上で、謝罪した。

 同漁協によると、取引漁協は「これは災害だ。来年、また元気な貝を育ててほしい」と理解を示し、今後の継続的な取り引きを約束したという。

 対策本部長の水谷洋一網走市長と石館組合長は5日、同湖の中間育成かごの追加調査を行った。

 午前9時、卯原内漁協を出港し、育成かごを引き上げて実際のへい死状況を確認した。

 水谷市長は「大量のへい死が確認され、原因究明と同時に漁業者の経営安定対策、そして、産業廃棄物となる貝殻の対策を早急に行わなければならない。国や道、関係機関と連携して全力で取り組む」とまなじりを決した。

 石館組合長は「大量へい死は経験したことのない事態。関係機関としっかりと連携して原因究明、再発防止に努めていく」と力を込めた。

 現時点で、へい死の状況から病死や酸欠などの可能性は低いという。

 対策本部は来週中には水産庁へ出向き、具体的な対策や支援を求める。

 同湖のホタテ稚貝は、年間で約2億粒を生産し、約1億8千万粒を紋別漁協、沙留漁協、枝幸漁協へ出荷し、約2千万粒を同湖で放流している。

 稚貝は5―6月に産卵するホタテの浮遊幼生を採苗器に付着させ、採苗器の中で1センチほどまで成長させた後、9月ごろに採苗器の中で育てた稚貝を中間育成かごに移す。11月から3月は完全に結氷した湖内で冬を越すため、流氷などの被害を受けないよう、同湖内の比較的水深の深い場所に吊るす。

 春の海明け後、比較的浅い場所へ移し、5月には4―6センチほどに成長した稚貝を出荷、来ない放流する。出荷の基準は3・5センチ以上。

 放流後、自然の海中や湖内で3年ほど育つのを待ち、成長した貝を漁獲し、食卓へ届けられる。

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