永田教育長（右）に榎本武揚に関わる書籍を寄贈した近江代表

　【北斗】市民団体「榎本武揚を顕彰する会」の近江政斗代表らが５日、函館市在住の根津静江さん（９３）の著書「男の中の男・開国の先駆者　榎本武揚の点描」（エコハ出版）１０冊を北斗市に寄贈した。

　同会は２０１２年に函館市梁川町の梁川公園内に榎本武揚（１８３６～１９０８年）の銅像を建立。１０周年の記念事業として、昨年出版された同著を渡島、桧山管内の各市町に寄贈した。

　榎本は戊辰戦争（１８６８～６９年）の時、箱館で旧幕府軍を指揮したことで知られ、降伏後は７２年まで投獄されたが、明治政府で本道の開拓やロシアとの国境画定交渉、内閣制度ができた後には外務大臣などを歴任した。根津さんの著書はこうした榎本の国際感覚や人物像に焦点を当てた。

　北斗市総合文化センターには近江代表と事務局の相馬信幸さんが訪れ、永田裕教育長に同著を手渡した。近江代表は「榎本は幕末に留学したオランダで『国』という感覚を身につけた。（明治政府での活躍も）日本のためならという発想だったのでしょう」と話した。永田教育長も榎本の功績に関心を寄せ「個人主義が先行する時代だが、先人が持っていた心を伝えていかなくては」と応じた。

　同会は２９日午後３時から、函館市本町のホテル法華クラブ函館で、榎本武揚銅像建立１０周年記念事業講演会を開く。国際奉仕団体、函館ゾンタクラブの創設会員でもある根津さんを講師に招く。

　定員は１００人で参加無料。事務局にファクス（０１３８・４７・３０６１）で申し込む。１５日締め切り。問い合わせは（同４６・３０３０）へ。