戦争の記憶 子どもへ 詩の世界館で「語り継ぐ会」初開催 空襲や玉音放送 経験者伝える
戦争の記憶を若い世代に伝える「子どもたちに戦争体験を語り継ぐ会」が10日、苫小牧市王子町の斉藤征義の宮沢賢治と詩の世界館で行われた。苫小牧や室蘭市に住む戦争経験者らが登壇し、空襲から命からがら逃げ延びた体験や終戦当日の記憶が語られ、来場者は真剣に聞き入った。
戦争の悲劇を風化させず、次世代に引き継ぐことを目的に同館が初めて開催。苫小牧市内の小中学生など約20人が来場した。
当時住んでいた東京で大空襲に見舞われた苫小牧市音羽町の谷口麗子さん(87)は、道路脇に何体もの遺体が転がり、川もたくさんの人で埋まる、地獄と化したまちの状況を切々と語った。
深川市で終戦を迎えた小林美奈子さん(85)=苫小牧市宮前町=は大広間に地域の人が集まり、みんなで玉音放送を聞いたという終戦当日の記憶を呼び起こした。室蘭市に住む児童文学家の富盛菊枝さん(同)は幼少期に同市で米軍艦砲射撃に遭い、一番仲の良い友人が犠牲となったつらい経験を、声を振り絞るように話した。
このほか、父親から聞いたという壮絶な戦争体験の発表や、1944年に白老町萩野地区で起きた町虎杖浜女子青年団勤労奉仕隊の死亡事故を題材とした紙芝居の読み聞かせDVDの上演も行われた。
母と妹と来場した小田知里さん(苫小牧明倫中3年)は「歴史の勉強では聞けない、いろんな地域のいろんな出来事について学ぶことができてよかった」と、体験者の話を胸に刻んでいた。
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