歯舞湿原の天然記念物指定協議 根室市文化財調査委【根室】
市文化財調査委員会(松井信輝委員長、10人)は9日、今年度第1回の会合を開き、市教委から諮問された歯舞地区湿原の市天然記念物指定について協議を開始した。同委員会は現地視察や利活用について検討しながら、今年度内に中間答申をまとめる方針だ。
大半の湿原は水がたまりやすい平たん地に形成されるが、歯舞湿原(面積約300㌶)は標高20~30㍍の緩やかな傾斜の台地上に発達。河川などではなく雨や雪、霧によって涵養されている。基盤地形の泥炭が毛布(ブランケット)のように覆う、現在国内で唯一確認されているブランケット型湿原といわれる。
形成開始は釧路湿原が約5000年前なのに対し、歯舞湿原は約1万2000年前とされているが、近年は周辺で開発が進み、消失の懸念が指摘されているため、天然記念物指定で保全と利活用を図る。
委員会には湿原研究の第一人者で北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園長の冨士田裕子教授や、釧路市立博物館の加藤ゆき恵学芸専門員も出席、アドバイスを送った。
市教委は湿原の約8割を内包する約290㌶を指定範囲として考えている。所有者の内訳は68%がJA道東あさひ、16%が民有地、残る14%が市有地。市教委は中間答申を受けて諸手続きを行い、今年度内の天然記念物指定を目指している。
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