市立函館病院で「フローサイトメーター」稼働 血液疾患の早期診断、治療の力に【函館】
市立函館病院(森下清文院長)の中央検査部遺伝子細胞生物検査センターは、細胞を解析する検査装置「フローサイトメーター」を導入し、白血病やリンパ浮腫など血液疾患の早期診断、早期治療に成果を挙げている。昨年は道内でいち早く高性能の新型の装置に更新し、このほど、本格運用を始めた。
フローサイトメーターは、さまざまな種類の蛍光色素が入った抗体試薬と反応させた細胞に、レーザー光を照射して蛍光発色した多数の細胞を一つ一つ測定する。細胞の性格を表す抗原を分析し、異常細胞を検出。数秒~数分の短時間で数千個から数百万個の細胞を解析する処理能力がある。
白血病や悪性リンパ腫は血液のがんと言われる難病。血液検査では、多数の血液細胞を詳細に調べ、異常細胞の有無やその性質を確認する必要があり、時間と手間がかかる。フローサイトメーターはこうした検査に有効だ。
患者の検体(血液・骨髄液・リンパ節などの組織)を装置で検査すれば、即日で病態が判明。ただちに治療が必要な進行型の悪性リンパ腫や急性白血病患者に対しては治療方針を検査当日に決定し、早い段階で治療を始めることができる。
この装置がない施設では、検査技師が顕微鏡で一つ一つの細胞を検査し、結果が判明するまで数日~1週間程度かかるという。
更新前の旧装置は2レーザー(3カラー解析)仕様で、1度の測定で2種類の細胞抗原しか検出できないため、測定や解析に時間を要していたが、これに対し3レーザー(8カラー解析)仕様の新装置は1度の測定で7種類の細胞抗原が検出可能になり、性能は格段に向上した。
同センターの臨床検査技師、齋藤泰智主査は「旧装置と比べ一つの細胞の特徴を細かく精査でき、より精度の高い解析結果を迅速に臨床の現場に提供できるようになった」と話す。
全国でも8カラー解析をしている施設は一部の大学病院を含め20施設ほどしかないといい、今後に向け、同主査は「血液疾患微小残存病変解析(1000万細胞中の数個の腫瘍細胞を検出する解析法)などにも挑戦したい」としている。
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