王子製紙苫小牧工場 段ボール原紙生産開始 年間30万トン見込む
王子製紙苫小牧工場(苫小牧市王子町)は1日、段ボール原紙などを生産する抄紙機の営業運転を開始した。生産体制再構築の一環で、デジタル化や紙離れなどを背景に新聞用紙の需要が減少する中、インターネット通販の梱包(こんぽう)材などとして今後のニーズが見込まれる段ボール原紙の生産に切り替え、国内需要の変化に対応していく。
同工場は、抄紙機8台のうち、昨年7月に新聞用紙を生産する「N―5号マシン」(年間生産能力20万トン)、同9月に「N―1号マシン」(同12万トン)を停止。N―5号マシンを段ボール原紙や封筒、紙袋、包装用紙などに使われるクラフト紙の製造設備に改造し、試運転を行っていた。
同工場の設備改修に伴う投資額は約150億円。N―5号マシンは「L―1号マシン」となり、段ボールの表・裏に使用されるライナーや中芯などの原紙を生産する。年間生産能力は約30万トン。
同工場は今後さらに、12月で閉鎖する王子マテリア名寄工場(名寄市)から段ボール原紙用の抄紙機1台を移設し、2022年4月の稼働を予定している。同工場は「新聞用紙に比べ、段ボール原紙は高い需要がある」としている。
日本製紙連合会(東京)の紙・板紙需給速報(8月)によると、新聞用紙の国内出荷量は16万3000トンで前年同月比2・3%減。一方、段ボール原紙は71万トンで同7・3%増。19年8月比でも1・1%増で、他の紙製品の国内出荷がコロナ禍で落ち込む中、コロナ前の水準を保っている。
同連合会の紙・板紙部は「通販や機械関係の梱包材として、今後も需要の増加が見込まれる」と分析している。
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