苫小牧でクラフトビール製造へ 錦町にパブ併設の醸造所建設
苫小牧市で8月に設立した「北海道ブルワリー」(高橋憲司社長)がクラフトビールの製造を計画している。中世ヨーロッパのビール造りで用いられたヤチヤナギを香り付け原料に使用し、個性的な苫小牧産ビールとして売り出す。錦町にパブを備えた醸造所を造り、2023年に生産を開始する予定だ。
クラフトビールは、小規模醸造所が造るローカルブランドのビールで、職人技による高品質で多様な味わいが人気を呼んでいる。地元ビールで地域を活性化させようと、市内の飲食店や企業の経営者らが出資し、北海道ブルワリーを設立。年内には繁華街の錦町2で、醸造所にパブを併設した「ブルーパブ」の建設に着手し、来年の完成、稼働を目指す。
ブランド名は、アイヌ語で神を意味するカムイとヤチヤナギの英名スイートゲイルを取り入れた「カムイゲイル」としたい考え。年間生産量は1万5000リットル程度を想定。通常商品のほか、季節限定ビールを製造する構想も抱く。同社のパブや地元飲食店で提供するほか、缶ビールを造り、インターネット販売にも乗り出したいという。
現代のビール造りでは香り付けにホップを使うが、同社は独特の香りを持つ落葉小低木ヤチヤナギを栽培農家などから調達して使用し、個性を強調する。中世ヨーロッパの庶民に親しまれた「グルートビール」の味わいで、高橋社長(50)は「われわれにしか造ることができない商品を提供したい」と力を込める。
製造責任者ヘッドブルワーは、高橋浩一さん(55)=味の大王社長=が務める。クラフトビールを生産するSOCブルーイング(江別市)の工場で昨年11月から今年2月にかけて修業し、醸造技術を身に付けた。
苫小牧での本格製造を前に、同工場で造ったヤチヤナギ使用のクラフトビールは、今月17、18両日に開催されるイベント「TOMAKOMAI MIRAI FEST(トマコマイ ミライ フェスト)」の錦町・大町会場で初披露する。アルコール5%で、ほんのりフルーティーな味わいという。価格は調整中。高橋ヘッドブルワーは「コロナ禍が続く中、苫小牧のビールが明るい話題になればうれしい」と話している。
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