飲食店も悲鳴

とんかつセットにキャベツの千切りを盛り付けるかつ吉登別店の店員

　昨夏の猛暑や昨秋の天候不順などによる影響で野菜の価格が高騰している。特にキャベツは平年比（直近５年平均）約３・３倍の高値となっており、西胆振でもキャベツ１玉が７８０円（税抜き）で並ぶ店舗もある。原材料や生活必需品の値上がりが続く中、家計や飲食店は、一層の節約と我慢を強いられている。

　農林水産省はキャベツやネギなどの店頭価格を全国４７０カ所のスーパーなどで調査している。１５日に発表された野菜の食品価格動向調査によると、６～８日の全国平均小売価格はキャベツが１キロ当たり５３４円で、平年比約３・３倍となった。

　生育の遅れや品質不良による出荷量の減少が原因で、鍋向けの需要が高いハクサイやダイコンなど調査対象の８品目全てで値上がりした。キャベツの価格は昨年１月に１キロ１６０円前後で推移していたが、昨年１１月から平年比２倍超の高値が続いている。

　キャベツはトンカツのお供でも定番となっている。登別市若山町の「とんかつ専門店　かつ吉登別店」では、とんかつセットなどで千切りキャベツのお代わり自由のサービスを実施。２０１３年の開業以来、人気を得ている取り組みの一つ。

　同店の佐藤大樹登別地区営業統括店長によると、キャベツの仕入れ値は「今までにないくらいの値上がり」と嘆く。多い日には１日１０玉ほどのキャベツを使うため「厳しい現状なのは事実」と語る。

　一方で、お代わり自由は同店の強みと強調し「やめることは考えていない。喜んでくれるお客さまのためにも継続していく」と話す。

　西胆振のスーパーなどでは２分の１サイズで２００円台後半から３００円台後半で販売されていたり、１玉７８０円（税抜き）の値をつける店舗もあった。各店では少しでも価格が抑えられている地元産を販売する動きも広がっている。

　スーパーアークスを展開する総合小売店チェーンのラルズ（札幌）室蘭地区本部の米澤厚ゼネラルマネジャーは「キャベツでここまでの高値が続くことは珍しい」と語る。店頭では冷凍野菜や野菜ジュースなどの需要が伸びているとした。

　関係者によると、野菜の高値は当分続くという。

　登別市中登別町の会社員、今井真弓さん（５４）は「さまざまな物の値段が上がり、家計の負担になっている。冷凍野菜も活用している」と話した。店頭で値札を見つめていた同市若草町の男性（７３）は「価格を見てびっくりした。とても１玉では買えない」とつぶやく姿もあった。