心筋梗塞、脳卒中リスク

　寒さが続くこの時期は、寒暖差による「ヒートショック」に注意が必要だ。急激な血圧変化で心筋梗塞などが起きることがあり、特に高齢者に多い。専門家は入浴時以外にも廊下やトイレなどは短時間でも危険だと警鐘を鳴らす。そのため、予防が重要だと訴える。

　製鉄記念室蘭病院（前田征洋病院長）の循環器内科部長を務める中村裕一医師によると、ヒートショックの主な原因は気温の大きな変化。血圧が急激に上下することで心筋梗塞、脳卒中などが引き起こされる。血圧が下がると意識を失って浴槽で溺れたり、頭を打つ場合もある。

　入浴時は特に危険だ。暖かい部屋から寒い脱衣所へ行くことで血管が縮んで血圧が上昇。その状態で暖かいお湯に漬かると今度は血管が拡張し、血圧が低下する。温度差によって血圧が急激に変動し、心臓に負担がかかる。

　予防のポイントに中村医師は「温度差の解消」を挙げる。入浴時は脱衣所や浴室を事前に暖めることが重要で①浴槽にお湯を張る際はシャワーで浴室を暖める。浴槽のふたを開けておく②一気に入浴せず手や足など心臓に遠い部分から少しずつ体を温める③湯温は４１度以下、漬かる時間は１０分以内④立ちくらみを防ぐため浴槽からゆっくり上がる―。また、入浴前の水分補給も大切だといい、適切な塩分や糖質を含んだものがお勧めだという。

　廊下やトイレなど温度差が１０度以上ある場所もリスクが高い。そのため夜間にトイレへ行く場合は、上着やスリッパの使用が有効だ。

　ヒートショックを防ぐために中村医師は「ほんのわずかな時間でもしっかり防寒することが重要」と強調した。

中村裕一医師