川村さんの織物や漆芸の秀作が並ぶ特別展

　室蘭市民美術館（室蘭市幸町）の開館１６周年を記念した特別展「川村弘文　織物・漆芸作品展」が１日から、同館で開かれている。市内在住の工芸作家川村弘文さんがさまざまな技法を用いて意匠を凝らした秀作１２８点が、来場者を魅了している。１１月１３日まで。

　川村さんは高校で美術教員として指導に当たる傍ら、自身も工芸作品を制作、発表してきた。同館ではこれまで個展を何度か開催しているが、今回は初の特別企画展として、２００８～２４年に制作した全作品を並べた。

　織物２３点、漆芸１０５点を展示。織物は、つづれ織りやトルコ結びの技法を使い、朝日や炎、風などを表現した。漆芸は、貝の真珠層を切り抜き文様にする螺鈿（らでん）、刀で文様を彫り、漆を刷り込んだ後に金箔や金粉などを埋め込む沈金（ちんきん）、色漆で描いた漆絵などの技法で葉や花などを描いている。

　川村さんは「工芸や漆芸は取り組んでいる人が少なく、二つのジャンルをそろって鑑賞できるめったにない機会です」と来場を呼びかける。

　初日は、特別展開催記念のセレモニーも行われた。市教育委員会の伊藤博明教育長が「川村先生が繊細に表現した作品から、素晴らしい世界観を市民に堪能してほしい」とあいさつし、伊藤教育長や川村さんらがテープカットを行った。