王子サーモンがニジマス養殖 「北海道大雪サーモン」ブランド化へ 来月中旬から販売
苫小牧市有明町の北海道工場で水産品を製造・販売する王子サーモン(東京)が、上川管内上川町でスモークサーモンなどの原料になる道産ニジマスの養殖を進め、10月中旬にも自社ブランド「北海道大雪サーモン」として販売を始める。今月14~16日に同工場直営店で刺し身を先行販売する予定で、半身(100グラム700円)、サク切り(同720円)、切りつけ(同777円)の3種計約30キロを先着順で提供する。
同社が卵から一貫生産するのは初めて。2022年に100%子会社「王子サーモンロード」(上川町、今井尚隆社長)を設立し、ニジマスの養殖を進めてきた。同町にふ化場約3600平方メートルと養殖場約1万9000平方メートルを設け、現在ニジマスを約10万匹養殖。大雪山系の冷涼な河川水と地下水を掛け流し、水温は常に2~15度と安定して育て、1年を通して出荷する体制を整えている。
ニジマスはふ化から2年ほどで2~2・5キロサイズに育つといい、今井社長(42)は「雑味が無くクリア。高油脂の餌を使うことで、しっかりとサシ(脂)も入った」と話す。ニジマスは育つ環境で味に大きな差が生まれることを説明し、他との違いについて「水によるところが大きい」と推測する。
王子サーモンはこれまで、スモークサーモンの原料として、ノルウェー産など主に輸入品を利用してきたが、世界的な水産需要の高まりで、原料の確保が課題となっていた。北海道大雪サーモンの生産は、現時点で年70~100トンの想定だが、30年度までに同1000トンに増やす目標で、今後は上川町や苫小牧市の周辺で、新たな養殖施設の建設や海中養殖も視野に入れる。
今井社長は「『北海道』や『大雪』というブランドを利用しながら、海外に認められるサーモンを作れれば」と北海道大雪サーモンのブランド化に意欲。将来的な海外輸出も検討中で「自社内ですべて完結し(養殖ニジマスの)成長度合いなどを把握することでコストを抑えながら、海外品に負けない品質を目指す」と話している。
先行販売の問い合わせは直営店 電話0144(84)1187。
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