町制施行70周年でふるさと昔話制作アイヌ民族ゆかりの物語をアニメに 白老
白老町の町制施行70周年記念事業の一環で、アイヌ民族ゆかりの物語3作品がアニメーションにされ、今秋、BSテレビの番組で全国放送される。事業を進めるのは「白老ふるさと昔話制作事業」実行委員会。実行委員長を務める高山長基さん(40)は「多くの皆さまの知恵を拝借し、町民みんなでつくる事業にしていきたい」と意気込んでいる。
事業は、町若草町の民族共生象徴空間(ウポポイ)やアイヌ民族の魅力を多くの人に知ってもらい、親しみを持ってもらうのが狙い。
制作予定のアニメは、白老ゆかりの医師、故高橋房次氏が生前、白老でアイヌ民族をルーツとする古老の口伝を聞き書きした、JR登別駅前のフンベ山にまつわる「ふんべ山」(4分)、アイヌ文化研究者で先住民初の国会議員、萱野茂氏が平取町に伝わる民話を書き起こした「きつねのチャランケ」(5分)、アイヌ三大歌人の一人で白老ゆかりの故森竹竹市氏の遺稿「ウェペケル」を原典とする「金の声 銀の声」(7分)。一般社団法人むかしばなし協会のプロデューサー、木下絢美さん(40)が、白老周辺地域にあるアイヌゆかりの話から選定した。
制作は、同協会のほか、TBS系(HBC)のアニメ番組「日本昔ばなし」の監督を務めた同協会所属の小林三男氏(78)=埼玉県日高市在住=などに委託。監修は白老アイヌ協会の岡田路明氏が務める。
発注は4月に済ませ、完成後は同協会とTBSに交渉し、9月にもBS―TBS「むかしばなしの部屋~伝えたい日本昔話」で全国放送する。このほか町内の教育機関にDVD、幼児向け施設に紙芝居を贈呈する計画だ。
「白老ふるさと昔話制作事業」実行委は4月25日、町と町民有志で旗揚げされた。メンバーは自営業、観光ガイド、文化団体関係者などで、初会合には26人が出席し、事業の進め方などを確認した。今後も月1回ペースで会合を開き、進捗(しんちょく)状況を共有するほか、町内の各団体に働き掛けて理解の輪を広げていく。
高山実行委員長は「全国放送するだけでなく、DVDや紙芝居も作るので、地域に根差した作品として残っていけばうれしい」と話している。
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