障害者の芸術イベント アール・ブリュット、苫小牧の2人も活躍
苫小牧市文化会館で3月に開かれた芸術イベント「アール・ブリュットin苫小牧2024」(苫小牧の文化と福祉を考える会主催)では、市内在住のアーティスト2人も活躍した。迷路作家の村川信也さん(50)と、エレクトーン奏者の福井大輝さん(22)。知的障害がある2人にとって芸術は大切な自己表現の場で、イベントでの経験を糧に活動の幅を広げたい考えだ。同会の石橋創代表は「活躍の機会をつくることができて何より」と話し、次回(来年3月予定)の開催に向け、さらなるアーティストの発掘に力を入れる。
村川さんは苫小牧出身。市内北栄町の共同生活援助事業所ハーフタイムで暮らしながら、木材加工の仕事に就いている。アール・ブリュットの会場では、画用紙いっぱいに迷路や動物が暮らす街並みを描いた鉛筆画を展示。大人も子どもも思わずゴールを目指して迷路にのめり込むほどの力作だった。
指にまひがあり、3歳の頃、訓練のために親からペンを持たされたことが創作のスタート。ロボットや動物を描くのが好きだったが、いつしか迷路作りに夢中になった。最初は円を描くようにぐるぐると回るだけの単純なコースだったが、次第にルートを複雑化させていったという。
さらに、大好きだった遊園地の立体迷路から着想を得て、立方体の小部屋や階段、廊下などを描き、前後にも移動するルートも表現。描きためてきた作品が市東開文化交流サロンの学芸員で同会メンバーでもある壽崎琴音さんの目に留まり、イベントへの出展につながった。
村川さんは「見に来た人が迷路を楽しんでくれたようで、展示できてよかった」と喜ぶ。出展作品の6点は29日まで、同サロンで展示している。「これからはみんなで迷路を描いたり、解き合ったりして楽しめるような活動をしてみたい」と笑顔で語った。
■
福井さんは当日、「可愛くてごめん!」「パプリカ」「2億4千万の瞳」などをパワフルに、笑顔いっぱい演奏した。観客に手拍子を促したり、ショルダーキーボードを演奏しながら舞台の上を所狭しと動き回ったりして、会場を盛り上げた。
むかわ町出身。ダウン症で言葉をうまく発することができず、小学3年生の時、療育の一環として音楽教室で電子オルガンを習い始めた。中学生の頃、教室の発表会や学校での演奏を通じ、人前で弾く喜びを感じるように。世界で活躍するエレクトーンパフォーマー富岡ヤスヤ氏に師事し、観客が楽しめるようなステージにもチャレンジ。札幌のライブハウス「ペニーレーン」やさっぽろ雪まつりなどのステージに立ち、パフォーマンスを披露してきた。
障害の特性もあり、左右同時や小指を使った演奏が苦手。しかし、楽譜をすべて暗記し、鍵盤を見ずに観客に目線を向けながら演奏することで、ダイナミックな世界観を表現する。すぐに演奏可能なレパートリーは20曲あり、「テキーラ」「セプテンバー」などのジャズが得意だ。
仕事が休みの日にも練習を欠かさず、常に新曲の習得に励んでいる。「みんなの笑顔が見られるので、演奏は楽しい。特にノリノリの曲が好き」と話し、出演依頼に積極的に応じていきたいという。
関連記事
12月1日から「ひろはこ冬の観光キャンペーン」【函館】
函館市と青森県弘前市による、ひろはこ連携推進実行委は12月1日から、両市の相互誘客や周遊観光の促進を図る「ひろはこ冬の観光キャンペーン」を展開する。3年目となる今年度も「雪ミク」がメインキャラ...
道民意識調査 ヒグマあつれき増加受け積極的捕獲支持増える【函館】
道は、9~10月に道内の18歳以上を対象に実施した、今年度の道民意識調査の結果をまとめた。ヒグマに対してこの10年で「大きく不安が増えた」「不安が増えた」と答えた人は合計で72・6%に上り、前...
親子で環境を考える 新ひだか LEDランタン工作教室【新ひだか】
【新ひだか】町保健福祉部生活環境課は16日、町公民館集会室で「親子で作ろう!LEDランタン工作教室」を開き、親子24人が参加して、省エネや太陽光発電のしくみなどを学び、脱炭素への意識を高めた。 ...
森林の機能や仕事学ぶ 新ひだか町緑化推進委と林業林産業担い手対策協共催 ..
【新ひだか】高静小(佐藤裕哉校長、児童495人)で19日、6年生3クラス93人を対象に「林業教室」が開かれ、児童たちは森林の機能や林業の仕事について理解を深めた。 総合的な学習の授業として、こ...
来年の主役は「ココア」動物園カレンダー完成【釧路市】
釧路市動物園(鈴木貴博園長)の2025年版カレンダーが完成し、23日から販売を開始する。来年は開園50周年を迎える節目とあって、写真は同園1番人気のアムールトラ「ココア」(雌、16歳)が採用され...
CATEGORY記事カテゴリー
MEDIA参加新聞社
ARCHIVE月別記事リスト
RANKINGアクセスランキング
- 週間アクセス
- 月間アクセス
-
1
道東道阿寒─釧路西 12月22日開通 札幌─釧路市街地直結【釧路市】
2函館市動物愛護管理センター開所 25日から運用 殺処分減へ【函館】
3帯広畜大「ゼニ研」に前田一歩園賞 ゼニガタアザラシの個体数調査継続【札幌】
4昔風の純喫茶復活 マリー・ギャルソン17日営業再開【釧路市】
5トラウトサーモン安定的生産に期待込め 浦河港内で養殖試験 浦河町栽培漁業研究会 事業化に向け可能性探る【浦河】
-
1
高校で卒業式、1623人が門出の日【釧路管内】
2タイ国鉄車両工場長 シンハカーンさん キハ183系を見学 安平
3昔風の純喫茶復活 マリー・ギャルソン17日営業再開【釧路市】
4釧路市動物園、ライオンのユウキ死ぬ【釧路】
5旧狩勝牧場再生へCF 返礼はソフト食べ放題やツアー 北広牧場【新得】