阿寒国立公園誕生の背景と物語 佐藤、松橋、塩さん「復刻三恩人」発行【釧路市】
「無名だった阿寒はなぜ日本初の国立公園指定に含まれたのか?!」というメッセージを込めた著書が、日本の国立公園元年・阿寒摩周国立公園が指定されて90周年を記念して「復刻阿寒国立公園の三恩人+プラス」として発行された。釧路の観光振興に尽力した種市佐改さん(1923~91)が84年に刊行した一冊を土台にして3人の筆者が資料をまとめ、思いを込めて360㌻に及ぶ著書として上梓させた。
「三恩人」とは、日本国立公園の父といわれた田村剛博士、阿寒横断道路を造った阿寒国立公園の父とされる永山在兼氏、北海道観光の育ての親であり、阿寒国立公園の候補地巡りをした近藤直人氏の3氏。
この三恩人について調査研究を重ね、種市さんの著書にさらに資料を加えたのは、城山モシリヤ学調査会の佐藤宥紹さん(前釧路短大教授)と、弟子屈町で私設「秀和人文科学研究所」を立ち上げ、地域の歴史研究に取り組む松橋秀和さん、そして今回の著書のブックデザインを担当し、発行所となっているクスリ凸凹旅行者の塩博文さんの3人。阿寒国立公園の誕生に情熱を燃やした恩人たちの功績に光を当てる編集作業に打ち込んだ。
同書では種市さんが書いた「阿寒国立物語」を復刻。栄光と苦難と復興の歴史をつづり、塩さんがその物語の``その後、、を執筆。佐藤さんも三恩人に比肩する〝プラスの人〟として阿寒の森を守った前田正名氏について執筆するなど、本書のページを開くたびに阿寒国立公園誕生の背景やその後の物語が見えてくる。
松橋さんは「三恩人がそれぞれに自分の出世などを考えずに情熱を燃やし仕事を続けた。永山在兼が阿寒横断道路を考えなければ今のような観光地として発展する釧路などを考えることもできなかった」と指摘する。編集を担当した塩さんは「物語を知れば知るほど、歴史の流れを見れば見るほど人のつながりの面白さを知ることになる。この人とこの人が結び付いたことによって阿寒国立公園が誕生したことがよく分かる。ぜひ読んでほしい」と話す。
同書は本体価格1500円。コーチャンフォー釧路店など、市内書店で取り扱っている。
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