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松前公園で十月桜 九条乙女 冬桜咲く【松前】

淡いピンクの花を付けた八重咲きの十月桜

 【松前】道南を代表するサクラの名所、松前公園内で「十月桜」(ジュウガツザクラ)や「冬桜」(フユザクラ)など早咲き品種が花を開き始めている。

 十月桜は、江戸時代から知られる彼岸桜(ヒガンザクラ)系統の品種で、本州では旧暦の10月頃から咲くため名付けられた。松前のサクラと70年近く関わりを持つ浅利政俊さん(93)=七飯町=は「気温変化に敏感で、紅がかった八重の花は品格も良い」と評する。

 松前藩屋敷北側の日本庭園付近の十月桜と並んでいる「九条乙女」(クジョウオトメ)もほころび始めた。浅利さんが開発した一重のかれんな花を付ける品種で「戦時中、空襲で命を落とした少女たちをしのんで平和を願い名付けた。サクラには人の思いが関係し合っている」と話す。

 また、松前神社付近や松前城入り口近くの冬桜は2日頃に開花。晩秋から初冬にかけても咲くが、春の方が花が大きく、見応えがあるという。1965年に道知事の町村金五氏(1900~92年)の後押しを受け、町が教育植物園(現・桜見本園)を開設する中で導入。浅利さんは「導入当時、冬桜は道内で松前にしかなく、松前発展の一助にしたいという思いがあった。最初の頃は年に1回しか咲かなかったが、次第に気候に適応し、秋にも咲くようになった」としている。

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