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十勝毎日新聞

公立芽室病院が遠隔医療 まず農村部訪問に【芽室】

 公立芽室病院(研谷智院長)がリアルタイム遠隔医療システムを導入した。今後、在宅医療や救急診療での活用を検討しており、医師の負担軽減や、遠方の患者でも診察しやすい地域医療サービスの提供強化を目指す。

ドクターカートで公立芽室病院にいる亀田医師に健康相談をする町民

 同病院では高齢になっても住み慣れたまちで暮らし続ける仕組み「地域包括ケア」の考え方から、2015年度に訪問診療を開始。医師や看護師が患者宅を訪問し、診察を行っている。

 町内農村部では訪問に往復1時間かかる地域もある。4月から「医師の働き方改革」が始動し、労働時間の削減が求められる中で、同病院は医師の負担削減につなげようと、23年度に医療DX(デジタルトランスフォーメーション)委員会を設置した。

 医師の移動時間削減や、24時間対応の救急外来において、当直の医師以外に自宅にいる専門医の意見もオンラインによって取り入れられるような仕組みづくりを見据えて、機器導入の検討を進めてきた。

 今回、導入したのは医療DXを手掛けるウィーメックス(東京、大塚孝之社長)製で、最大20倍ズームができる高精細度カメラを医師が遠隔で操作できるコンパクトモデル(ドクターカート)と、持ち運びが可能なタブレットモデルの2種。

 これらの機器を患者側で使用し、医師はそれぞれが所有するスマホやタブレットで患者の様子を見ることができる。同社によると、道内での同システムの導入は同病院が初めて。

 5日、上美生地区の70代の町民5人がドクターカートを利用した医師による健康相談を体験した。5人はモニターに映る医師と日頃の体調に関する不安などを相談。機器のモニターには医師の顔が鮮明に映り、声もはっきりと届いていた。

 体験に参加した小西景子さん(74)は月に1度、整形外科を受診しているが、「(システムを活用して)日常的に先生と話せることができれば励みになる」と話していた。相談に応じた総合診療科の亀田健太郎医師は「問診までは十分に対応できる」とし、超音波診断装置など「他機器と組み合わせ、診察までつなげる仕組みをつくれたら」と期待を寄せる。

 同病院では、訪問診療でのオンライン診療の拡大を目指し、出前講座や町内の特別養護老人ホーム利用者の診察での活用も考えていく。

 同病院事務局の杉本康次係長は3月にも実際の診療を試みる予定で、「試行錯誤を重ね、受診理解や医師の意識改革につながれば」と意欲を見せている。

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