大町の旧遠藤吉平商店、一棟貸しの宿泊施設に 10日開業【函館】
函館市大町9の市景観形成指定建築物・旧遠藤吉平商店が一棟貸しの宿泊施設「Portside Inn Hakodate(ポートサイドインハコダテ)」として10日に開業する。まもなく築140年を迎える趣深い雰囲気を生かし、ホテルなどを手掛けるステイプル(広島県尾道市)の子会社「ステイプル函館」が運営。取締役の園部優樹さん(27)は「泊りに来たいと思ってもらえる宿を目指し、歴史的な建物を有効活用して地域の活性化につなげたい」と力を込める。
ステイプルは東京都内や広島・尾道で既存建築のリノベーションを取り入れながら地域になじむ小規模ホテルやコワーキングスペースを展開。宿泊施設として開業する旧遠藤吉平商店は、市によると1885(明治18)年築。
園部さんは昨年函館を訪れ、レンガ造りに白漆喰を塗り、洋風の3連アーチをあしらった外観に一目ぼれ。以前は「喫茶JOE」として営業していたが、しばらく活用されておらず「なんとかこの素敵な建物を存続させたい」(園部さん)と6月に購入。自身も11月に函館に移り住み、1日1組限定の宿泊施設開業に向け、準備を進めてきた。
1階は元々のレンガ造りを生かして床にも新たにレンガを敷き詰め、暖炉も設置。ぬくもりを感じられるたたずまいに改修した。2階の寝室は建築当初の梁を残して使用したほか、古風なアンティーク家具を置いている。人が住んでいるような温かさをコンセプトとしており、施設内では国内外の雑貨もみられる。
開業を前に12月23日には地域住民向けにお披露目会を開催。開業後は宿泊のほか、地元向けにイベントスペースとしての活用も視野に入れる。園部さんは「建物は今後も手直しを続け、歴史を引き継いでいきたい」と話している。
定員は大人4人で料金は1泊7万円から。予約、問い合わせは同施設(050・8882・5586)へ。
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