災害記録と記憶伝える 胆振東部地震 教訓継承へシンポジウム 厚真
北海道大学文学研究院が主催する災害の記録と記憶を伝えるシンポジウムがこのほど、厚真町の軽舞遺跡調査整理事務所で開かれた。胆振東部地震の記憶の継承に携わる町内外4人のパネリストが震災アーカイブの必要性について意見を交わした。
町教育委員会の乾哲也学芸員は「資料として残していくことで地域に住み続けることにつながる。若い人や子どもたちの教育にもなるし、メカニズムを伝えることで単なる授業ではなく、防災にもつながる」と説明。被災した爪痕がそのまま残る幌内地区の日高幌内川や津波堆積物の現場を案内する取り組みなども紹介した。奈良智法学芸員は「みんなで情報を共有できるようにいろんなものをいろんなスタイルで展示できないか」と語った。
発災以前から町内での活動に携わる東北学院大学の定池祐季准教授は「厚真町にはもともと施設があって、学芸員がいて(資料として)受け入れることができた」とする一方、今後の保存について「コンセプトや判断する人によって内容は変わる。フラットに残していくことが大切」と指摘した。
震災の影響で汚れたり、色あせたりした写真や書物の修復を手掛けるウェルビーデザインの西村勇太代表(芦別市在住)は、町内で7000枚以上の写真などを復活させた。ただ、「その後、全国各地で災害があるたびに過去のことは埋もれていってしまう。節目で情報発信することも必要では」との見解を示した。
シンポジウムは北大のプラス・ミュージアム・プログラムの一環として開催。同プログラムの代表を務める北大文学研究院の今村信隆准教授は「震災は発災後の支援も含めて記録に残していくことが大事ということが分かった」と総括した。
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