【根室】市は首都圏など３都県を巡る「北方領土返還要求キャラバン隊」を派遣する。市独自事業としては５４年ぶりとなるもので、ロシアのウクライナ侵攻の影響で停滞する北方領土返還要求運動の「原点」に戻る試みだ。６日夜には石垣雅敏市長をはじめ元島民、後継者、４世となる高校生ら隊員１９人が結団式を行い、世論喚起への決意を示した。

　キャラバン隊は１０～１３日まで３泊４日の日程で東京都、愛知県、滋賀県を訪問。各知事や都県民会議会長の表敬や街頭啓発、北方領土のイメージキャラクター「エリカちゃん」と「四島（しま）返せ！声出し合って動く今」の標語をラッピングした市バス「はまなす号」での移動啓発を予定している。

　結団式で石垣市長は「北方領土問題が置き去りにされるのではないか」と懸念を示し、「一度、原点に返って、北方領土返還要求運動原点の地の根室市からキャラバン隊を派遣し、返還への思いを直接、伝えたい」と述べ、千島歯舞諸島居住者連盟（略称・千島連盟）根室支部長の角鹿泰司さん（８６）＝歯舞群島勇留島出身＝は「返還への熱意を国民に届ける」と決意を表明した。

　千島連盟青年部「かけはしの会」会長代行の高橋隆一さん（６２）＝国後島２世＝、根室高校北方領土根室研究会の一島美月さん（２年生）＝志発島４世＝は「若い世代に伝えたい」と決意を述べた。激励に立った同連盟副理事長の野潟龍彦さん（７１）＝国後島２世＝はシュプレヒコールを提案、隊員全員が四島の名前を挙げながら「返せ」と声を上げた。一行は１０日正午に根室を出発する。

　今回のキャラバン隊には１９６７年の第１回隊員として参加した河田弘登志さん（８９）＝歯舞群島多楽島＝も名を連ねている。

　根室市は１９６７年に初めて隊員２０人車両８台のキャラバン隊を編成、道内４８市町村を訪問。６８、６９年と実施し、その後は道や千島連盟に引き継いでいた。

「四島を返せ」の決意を込めシュプレヒコールを上げるキャラバン隊