新幹線の父、十河信二・キクで朝ドラを 函館にもゆかり 愛媛の2市が誘致活動【函館】
愛媛県西条市と新居浜市は旧国鉄総裁を務め「新幹線の生みの親」と呼ばれた十河信二(そごう・しんじ、1884~1981年)と函館出身の妻キク(1888~1958年)を主人公として、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)化を目指している。官民一体の協議会を設立し、署名活動を展開。インターネットを通じて道南からも応援が可能だ。
両市の行政や経済界を中心に県も加わり、5月に朝ドラ誘致推進協議会を設立。「東海道新幹線を走らせた雷オヤジ十河信二さんと、不器用ながらも時に夫を黙らせながら支え続けた妻・キクさんとの物語の放映を目指す」とする。
十河は新居浜市出身。東京帝大(東大)卒業後、鉄道官僚となり、南満州鉄道理事、西条市長を歴任し、55年に71歳で国鉄総裁に就任。54年9月の洞爺丸台風、55年には瀬戸内海で死者を伴う国鉄連絡船の事故が相次ぎ、総裁だった長崎惣之助が引責辞任したことが背景にあった。十河は国鉄の立て直しを図り、新幹線導入の道筋を付けて63年に任期満了で退任。64年に東海道新幹線が開通した。
妻のキクは明治初期に英国で電信技術を学んだ父、岡崎重陽が函館逓信(ていしん)管理局に技手として勤務していた1888(明治21)年に誕生。函館の小学校を出て札幌、東京の女学校を経て、東京音楽学校(現東京藝大)に進み、在学中に東大生だった十河と出会い、結婚した。
十河はキクが亡くなった58年に日本経済新聞掲載の「私の履歴書」で、「私の公的私的の生活のすべてに妻の助けがあり、妻はいついかなる時でも、私の心の中に生きていた」とつづった。協議会の趣意書は「偕老同穴(かいろうどうけつ)のオシドリ夫婦の物語は日本の朝を元気にし、活力をもたらしてくれる」としている。
署名は両市のホームページから専用用紙をダウンロードし、郵送、ファクスで送ることができるほか、電子署名も可能。8月にNHKに署名簿を提出することを目指している。
西条市は歌手秋川雅史さんの出身地で、名曲「千の風になって」ゆかりのまちとして親交のある七飯町はホームページで誘致活動を紹介している。
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