成田さん銅像 花咲小に寄贈 根室地域の女子教育振興尽力【根室】
【根室】147年の歴史を刻む市立花咲小学校(植島博幸校長、児童数143人)で教壇に立ち、後に私財を投じて根室に裁縫学校を設立するなど、明治後期から昭和初期の根室地域で女子教育振興に尽力した成田隆(たか)さん(1868~1950年)の銅像が16日、花咲小に寄贈された。教え子たちがつくった像は78年ぶりの凱(がい)旋(せん)で、寄贈式の関係者は「お帰りなさい」と迎えた。
成田隆さんは秋田県出身。札幌や北方領土・国後小学校を経て根室へ。1927(昭和2)年、花咲小の前身、花咲尋常高等小で定年を迎えた。翌年、常盤町に私財を投じた根室裁縫女学校を設立、校長として裁縫以外にも国語や数学など、女性の教養を高める授業に注力した。
教え子たちは根室管内や千島で裁縫の伝授活動をしたとされ、銅像はその教え子たちが37(昭和12)年に作製。隆さん自身が所蔵し根室空襲で函館に引き揚げた際も持参した。
隆さんは50年に82歳で逝去。今年に入り、所蔵していた神奈川県の成田隆一さんら親族から、知人の田塚不二男市議会議長を通じて市教委に寄贈の打診があり、ゆかりの花咲小に所蔵することにした。
同校での寄贈式には、親族代表で孫の本村彰子さん(82)=標津町=、渡邊ゆみさん(73)=釧路市=らが出席。同校児童会長の小林栞奈(かんな)さん(11)=6年=が除幕し、波岸克泰教育長は「根室空襲から78年、まさに『お帰りなさい』の言葉でお迎えしたい。根室地域の女子が教養を高め、職業人として社会で活躍するための礎を築いた先生で、語り継いでいく街の財産になる」と謝意を示した。
銅像は同校の職員玄関ホールに、子どもたちの活躍の証しのトロフィーなどとともに置かれた。隆さんに彰子と名付けてもらった本村さんは「標津でも『隆さんの孫でしょ。良い人だったよ』といわれた。祖母も喜んでいるはず」。渡邊さんは「母によると(祖母は)迷信など非科学的なものは信じない人だったそうなので、そのためか母も迷信めいたことを言わなかった」と振り返っていた。
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