ストランディング北海道、調査車両を公開【函館】
海岸に打ち上げられたクジラやイルカなどの鯨類(寄鯨=よりくじら)の回収・調査を行うストランディングネットワーク北海道(SNH、理事長・松石隆北大水産科学研究院教授)はこのほど、北大函館キャンパス内で調査専用車両「フンペヤン号」を公開した。松石理事長は「専用車両で寄鯨への迅速な対応や調査の効率化を図ることができる」と胸を張る。
SNHは、大学の研究者や学芸員、水族館職員などで組織。寄鯨の通報を受け、死骸を回収する。胃の内容物やDNAの解析など調査・研究を行い、標本を研究機関へ提供し、希少種の保護や海洋生物の理解に役立てている。
鯨類の死骸は時間の経過とともに腐敗が進むため、一刻も早い対応が求められることで、機材をあらかじめ収納できる専用車両の導入が課題だった。そこで今年3月、調査専用車両の購入費の調達を目的としたクラウドファンディング(CF)を実施、約180万円の資金が集まった。
CFで得た資金で貨物自動車(トヨタ・ハイエースバン、9人乗り)の中古車を購入。防汚シートや調査資材棚などを設置した。また、長距離運転に備えアクセル操作無しで車速をキープするオートクルーズ機能も導入した。車名のフンペヤンは、アイヌ語で「くじらが打ち上がった」を意味する。
今年はこれまでに30件の出動があり、5月27日には函館市湯川地区の海岸で「カマイルカが座礁した」と通報を受け、フンペヤン号で出動した。懸命に介護するも、残念ながら死んだ。死因は溺死だった。松石理事長は「打ち上がってきたイルカを海に押し返そうとすると、パニックを起こし水を飲んでしまう危険性がある。まずは一報を」と呼び掛け、次の出動に備える。
漂着した鯨類の発見情報は、北海道いるか・くじら110番(090・1380・2336)へ。
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