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函館新聞

北方防衛の歴史たどる 北斗市郷土資料館で特別展【北斗】

碑文の解説パネルを前に来場を呼び掛ける時田学芸員

 【北斗】市郷土資料館の特別展「国指定史跡松前藩戸切地陣屋跡展 北の守人」が7月まで同館で開かれている。新発見史料を通じて、陣屋を設計した砲術家藤原主馬と、その父で択捉島防備に生涯をささげた藤原正蔵、松前藩主として主馬の西洋流砲術導入を強く後押しした松前崇広ら、北方防衛に尽くした人々の熱い思いに迫る。

 「日本初の星型の城」戸切地陣屋をテーマにした特別展は5回目。同館の時田太一郎学芸員は昨年、同館を訪れた藤原主馬の子孫から、松前の寺院にあった正蔵の事績を顕彰する墓碑の写しの提供を受けた。

 正蔵は松前生まれの砲術家。松前藩の梁川移封に伴い松前奉行に仕え、後の復領に伴い松前藩に再び召し抱えられ、1828年に択捉島で亡くなった。解説文を執筆した時田学芸員は「西洋の文物にも通じた先取の姿勢は、息子の主馬にも受け継がれた」と話す。

 子孫からは、幕府老中も務めた第12代藩主松前崇広から主馬に送られた書簡の写しの提供も受け、今回初公開する。書簡の日付は嘉永7年(1854年)5月2日。主馬はこの時、松前城下で開いた藩の西洋砲術稽古と箱館に来航したペリー艦隊への対応を同時に取り仕切っていた。内容は主馬の東奔西走をねぎらい、「一日でも早く再会して議論を交わしたい」と呼び掛けるもので、立場上は一介の藩士にすぎない主馬と崇広との「特別な絆」(時田学芸員)がうかがえる。

 特別展ではこのほか、戸切地陣屋のジオラマなどを展示し、解説・図面・写真などパネル総数は102枚。

 同館は入館無料。開館時間は午前9時~午後5時、月曜休館。

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