「コロナ禍でよりネットワークインフラが身近になった」と語る太田教授

　室蘭工業大学の太田香教授（３９）が２０２３年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞した。「社会的課題の解決に資する次世代情報通信ネットワークの研究」として、無線通信の速度、帯域利用や省エネの効率などを向上させるＩＣＴ（情報通信技術）基盤を強化する取り組みが高く評価された。

　ネットワークインフラは、水道、電気、ガスと同様にライフラインになっている。近年はＩｏＴ（モノのインターネット）、次世代無線通信規格（６Ｇ）など技術革新への期待が高まっている。

　太田教授は６Ｇの実現に向け電磁波「ミリ波」を任意の方向へ反射させる板（ＲＩＳ）を制御する仕組みを研究中。大学時代にｅラーニングのアプリ開発から始まり、無線センサーネットワーク、無線通信といった「より基盤技術」に関心が向かった。「昔の積み重ねや歴史があって、今の研究ができている」と振り返る。

　今後については「基盤のところを数年やってきて、学術的な成果も得られた。初心に戻ってアプリやサービスの話を展開し、北海道らしい、地域に貢献できるような研究成果を出せたら」と抱負を話している。

　今月からは室工大が新設した「コンピュータ科学センター」のセンター長に就任。対外的に同大の研究力をアピールするほか、異分野融合に取り組む学生のサポート、海外から研究者を招いてのシンポジウム開催などを計画している。

　若手科学者賞は４０歳未満の研究者が対象で応募者３５９人中１０１人が受賞した。表彰式は１９日に東京の文科省で開かれた。