購買撤退の音更高に昼食 町内の飲食店が試験配達【音更】
音更高校(重堂法人校長、生徒254人)の校内にあった購買が撤退してから10カ月。窮状を知った音更町内の飲食店「ごはんcafe 茶の間」(ぴあざフクハラ音更店内、和田賢代表)は、1月30日から同校に昼食弁当の試験配達を始めた。同店は4月以降配達を本格化させる方針で、カード決済だけの支払い方法を見直したり、メニューを増やしたりして利便性向上を目指す。
購買は昨年3月末になくなった。パンを中心におにぎり、弁当など数量限定で取り扱い、生徒らの空腹を満たしてきた。同校周辺にはコンビニエンスストアや商店などがないため、購買は貴重な存在だった。
同校は、購買がなくなるのを見越して昨年3月中にパンの自動販売機を設置して急場をしのいできた。しかし、生徒らは昼食を自宅から持参するか、登校途中に購入するしかなかった。
同校は窮状を町などに訴えた。事情を知った、町内在住で同世代の子を持つ和田代表が弁当配達を名乗り出た。同店は、丼物、定食、麺類などを提供しており、テークアウトメニューやソフトクリームなどのカフェメニューもあり、町内で子ども食堂も手掛けている。
既存メニューの中から高校向けに、豚丼、唐揚げ弁当、ハンバーグ弁当、しょうが焼き弁当の4種類を用意。いずれも1食500円で、ご飯の大盛りは無料。
毎週月-金曜の午前8時までに事前予約を受け付け、フードロスをなくす。同店のホームページ「音更向けお弁当配達」にアクセスし、パソコンやスマートフォンで注文すると、午後0時半から同45分の間に配達してくれる。支払いはカード決済とし、現金は原則、受け付けていない。
試験配達初日は、教職員(34人)を対象に注文を受け、重堂校長分を含め6食を配達。新年度からは全校生徒らを対象に配達を始める。物価高騰の折、料金を抑えるのは難しいが、和田代表は「町にある高校のため、一肌脱ぎ、採算度外視でやらせてもらう」と張り切っている。
今後、のり弁やカレー、プリンなどのスイーツもメニューに追加する方針。カードを持たない家庭の生徒らに配慮し、カード決済以外の支払い方法も検討する。重堂校長は「本当にありがたい。学校、生徒たちにとって喜ばしいことだし、地域の支援の輪が広がっていることを感じる」と話している。
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