ワカサギ遊漁禁漁へ 資源の減少著しく 網走湖
【網走】国内外の観光客らの人気が高い「網走湖のワカサギ釣り」は、著しく減少しているとみられるワカサギの資源量を保護するため、13日から禁漁に入る。国内唯一とされる西網走漁協の氷下引網漁は1月末で今期の漁を打ち切った。漁業や観光への影響が懸念されている。
ワカサギは、キュウリウオの仲間で、関東・中国以北の淡水や汽水域の河川、湖沼に生息している。生まれてから1年以内に成長、産卵し、死亡する「年魚」。シラウオやアユと同じく、1年でその生涯を終える。
古くから全国で親しまれ、江戸時代には将軍に献上され「公儀御用魚」となったことから漢字で「公魚」と書く。
網走湖のワカサギは、春に湖に流れ込む河川で産卵し、稚魚のうちに海に降りる「降海型」と、湖にとどまる「陸封型」の2種類がいる。
降海型のワカサギは11月末から1月上旬にかけ、母なる湖の網走湖へ戻り、結氷した湖で春まで過ごし、産卵のための遡上を待つ。
氷下引網漁や氷穴釣りは、産卵前の「親魚」を採捕するため、とりすぎると卵を産む魚体数が減り、孵化する稚魚の総数も減少してしまう。
網走湖を〝母湖〟とするワカサギが一定数を下回ると資源の回復が困難となり、最終的には絶滅する危険性が高まる。
例年、年明けから開始する氷下引網漁は本年、1月12日に開始したが初日の漁獲量は平年の10分の1ほどの約300㌔にとどまった。
同漁協は、出漁回数を週3回に減らし、資源量の回復を待ったが、海からの遡上を終える1月末までに魚体数の増加はなかった。
1月末までの漁獲量は過去最低で、昨年の氷下引網漁(1―3月)の93・5%減の3・5㌧にとどまっている。
氷下引網漁は自然環境の影響を受けやすいとされ、年毎の漁獲量に変動はあるが、2022年は54㌧、21年は42㌧、20年は95㌧で、近年は平均50㌧前後を水揚げている。
通年漁獲量は16年69・5㌧、17年138・7㌧、18年149・1㌧、19年135・5㌧、20年173・1㌧で、5年平均は133・2㌧となっている。
また、網走湖はワカサギ受精卵の一大生産地でもあり、過去には全国40カ所以上に計50億粒を出荷した実績もある。
近年は約10億粒を出荷しており、国内で生産されているワカサギのルーツは網走湖にある。
本年は1月の漁獲量が過去に例を見ないほど少なく、同漁協は「春に卵を産む親魚を漁獲すると、今後の資源回復が見込めない」として、1月末で今期の氷下引網漁を打ち切った。
これに合わせて、冬のアクティビティとして人気の高い網走湖呼人浦と女満別湖畔のワカサギ遊漁も資源保護の観点から12日で今期の営業を終える。
氷下釣りの釣果も資源量の減少にリンクして不調が続いている。
全国からプロ級の氷穴釣り師が集まるワカサギ釣り選手権大会でも釣果は昨年の10分の1ほどにとどまり、参加者は「今年は釣れない」と声を合わせていた。
観光関係者は「網走の冬観光の大きなコンテンツを失うのは痛いが、資源の回復を優先すべき事態。来年以降の豊漁を期待している」と理解を示す。
ワカサギの資源量の減少は、通年降雨量や夏から秋にかけての台風の到来状況など、年間を通じた気象条件や温度変化、河川環境などが複雑に絡み合い「これだ」という原因は把握されていない。
だが、ここ10年ほど、網走川河口域でワカサギ釣りならぬ、たも網を使用した「ワカサギすくい」とブームとなっており、1シーズンで数十㌧が採捕されているとみられ、資源に悪影響を及ぼしているとの指摘もある。
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