「グリスロ」利用者は歓迎、採算性厳しく 函館市地域交通協議会が検証結果【函館】
函館市地域公共交通協議会(事務局・函館市)は、今年8月と9月に市内2地区で実施した低速電動カート「グリーンスローモビリティ(グリスロ)」の実証運行の検証結果をまとめた。報告書では「利用した地域住民からは歓迎の声が上がったが、事業採算性が厳しい」と指摘。導入に向け、「市が主体となり地域住民や既存公共交通事業者などと十分に議論を交わす必要がある」とした。
21日に開かれた同協議会の総会で報告した。グリスロは時速20キロ未満で公道を走ることができる電動車を使った移動サービスで、従来の公共交通ネットワークを補完する住民の身近な足として注目されている。今回は7人乗りの小型カートを使用し、西部地区3コースで30日間、南茅部地区2コースで14日間運行。料金は無料で、西部地区では自由に乗り降りできる「フリー乗降」、南茅部では垣ノ島遺跡と大船遺跡などを結ぶ「定時定路線」方式をとった。
西部地区では30日間に383便を運行し827人、南茅部地区では14日間に105便を運行し177人が利用した。アンケートには計449件の回答があり、グリスロの良い点として「開放感」「坂道移動が楽」「音が静か」などが挙げられた。悪い点では「雨風に弱い」「便数が少ない」といった意見があった。南茅部地区の利用者は縄文遺跡への観光客が大半で、垣ノ島遺跡から大船遺跡へのアクセス向上効果を評価する声があった。
また、報告書では「継続的に事業を行うためには、低コスト化や利用料金収入以外の収益の確保といった取り組みが不可欠。既存公共交通の見直しなど大きな議論が必要になる」としている。同協議会では今回の実証運行結果を踏まえ、3次交通の導入に向けて検証を進める。
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